すずめの戸締まり(4.0) | 想像上のLand's berry

想像上のLand's berry

言葉はデコヒーレンス(記事は公開後の一日程度 逐次改訂しますm(__)m)

『すずめの戸締り』

監督:新海誠

感想(※多少ネタバレします)
 「セカイ系」(エヴァっぽい作品)の旗手だった新海さんがジブリ風の作品に挑戦し、そして失敗した『星を追う子ども』。奇しくも2011年の作品だ。あれから11年、『すずめの戸締り』でリベンジに挑戦している。『耳をすませば』『魔女の宅急便』は実際に言及されるし、『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』『ハウルの動く城』なんかの要素も感じ取れる。

 そして、このリベンジは半ば成功しているように思える。新海さんは人の意見をよく聞く人なんだろうね。設定も曖昧で説得力に欠けたファンタジー世界での冒険が主だった『星を追う子ども』と比べて、『すずめの戸締り』で舞台となるのは主として現実世界だ。そのことで作品世界に具体性が持ち込まれ、『星を追う子ども』の欠点を克服している。

 現実世界の(美化された)風景描写は新海さんの十八番でもある。とくに下り道のカーブからの眺望は好きだった。道中の出来事なんかも丁寧に描かれてるし、震災を絡めたストーリーテリングも今作はこなれた感がある。新海さんがだしがちな単にイヤなだけのやつも今作では基本的に出てこない。そういう意味ではクオリティが高い作品だとも言える。

 ただ、いまいちノレない部分もあって。(以下反転)主人公が彼と出会ってから作中であまり時間が経過しないから、強い結びつきになるところが納得しづらい。あれだったら学校の先輩でいつも眺めていたって設定とかでも良かったと思う。

 もうひとつ。これは割と致命的に思える部分で、ネコ周り、とくにクライマックスの処理がよくない。あれだと主人公たちに都合のいいように動いているように見えてしまう。
そのモヤモヤを引きずっているからラストも感動というには程遠かった。

 前作『天気の子』は粗い部分が(ある程度意図的に)多かったけれど、ラストですべて回収していた(終わり良ければすべて良し)のに対して、この『すずめの戸締り』は道中は丁寧だけれど、ラストでのれない感じになってしまっている。

☆☆☆☆(4.0)




『すずめの戸締まり』予告【11月11日(金)公開】