沈黙のパレード(4.0) | 想像上のLand's berry

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言葉はデコヒーレンス(記事は公開後の一日程度 逐次改訂しますm(__)m)

『沈黙のパレード』

感想
 おなじみの東野作品、なつかしのガリレオシリーズ。

 『砂の器』オマージュの『祈りの幕が下りる時』をはじめ、近作ではミステリーの古典をベースに執筆しているっぽい東野さん。これも割と早めの段階で「あ、これオリエント急行や…」と気付く。

 それ自体は全然良いと思うの。こっちも「この素材をどう調理するんだろう?」って目線で見られるわけだから。問題はその調理がどうかだよね。

 うーん…

 雰囲気は良い。導入はバッチリだし、前半はかなり引き込まれる。湯川さんは相変わらず湯川さんだけれど、もう慣れてるし(←)。ただ、後半は二転三転の展開がわりと怠く感じるところもある。シンプルさに欠ける。

 沈黙(完全黙秘)すれば罪にはならないってすげー嘘っぽいし、いかにも「小説家」らしい問いの建て方だなあって思ったけれど、まあそれはいいや。

 田口浩正が「正義」を語る辺りからチープさが隠しきれなくなる。てめえの正義論とかどうでもいいよ。言葉でギャンギャンやることで『オリエント急行殺人事件』の優雅さからはほど遠くなっていく。

 もうひとつ、物語上純真無垢であるべき存在が(演出の問題でもあると思うけれど)ある場面で「じつはめっちゃ嫌なヤツじゃん!」と見えてしまう。これは明らかにマイナス。あれだとそれまでの積み重ねが無意味になってしまうし、東野さん特有の「ピュア」(作品自体のピュアさ)も損なわれる。

 シンプルさと優雅さとピュアさに欠けたオリエント急行。ただまあ、つまらなくはない。

☆☆☆☆(4.0)



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