嵐電トランスファー徒然 | 想像上のLand's berry

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言葉はデコヒーレンス(記事は公開後の一日程度 逐次改訂しますm(__)m)

嵐電トランスファー徒然

 「嵐電トランスファー」は特別な作品だ。

 母と過ごした最後の夏。母はヨーロッパ企画が好きだった。本公演にも毎年行っていたけれど、昨年はコロナ禍で中止。そんな中で行われた生配信劇「京都妖気保安協会」のcase1、それが「嵐電トランスファー」だ。
 
 日常と非日常が隣り合わせになったヨーロッパ企画らしいテーストの物語。設定なんかはアニメでやっても面白いだろうけれど、アニメでは絶対に出せない生の緊張感。

 しかも営業中の電車(嵐電)を借り切って撮影するという無茶な試み。時間内にきっちり収めなければいけないし、停車時間がまちまちらしく、アドリブでその辺の調整もしなければならない。それを一発勝負の生配信でやる。

 すさまじいことをやっているのに、それをそうと感じさせない。背丈が同じくらいの永野さんと早織さんの愛らしいカップル。ハイテクな設定なのに、ちとホロッとさせる人情劇は「きてけつかるべき新世界」を彷彿とさせる。


(2020年7月24日15時27分)

 遊び心も盛り込まれていて、終盤ある仕掛けで永野さんが(再)登場した時は、生配信であることを知っている僕らは拍手喝采だった。終演後にはSNS巡りをして、「あそこエチュードだったんだ!」とか盛り上がった。幸せな時間だった。

 あれから一年弱。「嵐電トランスファー」を含む京都妖気保安協会シリーズが円盤化される。もちろん、ちゃんと収益化することは大事(いまの状況ではとくにね)。僕も即ポチったけれど、「嵐電トランスファー」だけは生配信の状態で残してほしかったな…という思いもある。

 それは単に僕個人の感情という面だけではなくて。

 ヨーロッパ企画はコロナ禍でいろんな生配信企画を続けてくれていて、それはファンにとってはものすごく嬉しいしありがたいことだけれど、最近少し思っていることがある。

 「誰も本気のヨーロッパ企画を知らない…」(『第一話』で共演しているNMBメンバーでさえも)

 YouTubeで検索をかければヨーロッパ企画の動画は山ほど出てくる。生配信企画に「暗い旅」などなど。それらは、たとえて言うなら彼らの屋根裏部屋だ。そこから色んなアイデアが生まれてくる。

 でも、本気になったヨーロッパ企画の動画って意外と見当たらない。僕は公演DVDをすべて持っているから本気の彼らをいつでも見られるけれど、そこまでのハードルって結構高いと思う。

 「嵐電トランスファー」は本気になった彼らをタダで見られる稀有な動画だった。その上、これは生配信だということがなにより凄い点だから、そのままの状態で残すことがもっとも作品の力を活かせる道なのかなと。

(もちろん、作品の権利に関わることは僕がどうこう言えることではないから、あくまでもそう思ったってだけの話)

 『ドロステのはてで僕ら』で各国の映画賞を総なめしている(言い過ぎかな?)ヨーロッパ企画。ドロステもたしかに凄い作品だけれど、僕はどちらが好きかと聞かれたら「嵐電トランスファー」だと即答する。

 2020年、コロナ禍で何もできなかったようなあの夏。でも僕にとっては…。



京都妖気保安協会ケース1「嵐電トランスファー」ドキュメンタリー 「それから僕らは電車で生配信劇をした」(ヨーロッパ企画のYou宇宙be#2)