「映像研徒然」
映像研が終わった。「萌え」に凝り固まったアニメの記号性を排除して、映像づくりの根源へと立ち返る。端的に言って、この10年で最良のTVアニメだったと思う。「こんなのタダで見せちゃって良いの?」と思うくらい。
映像研の3人(浅草、金森、水崎)は信じられないくらい魅力的だった。その凸凹なキャラ造形は『けいおん』や『ラブライブ』よりも「ズッコケ三人組」を連想させた。浅草氏の声は、既存のアニメ声とはかけ離れていた。それでも、めちゃくちゃ可愛かった。
浅草監督、金森P、水崎作画…彼女たちの存在と関係性はまた、伝説のアニメ制作者たちをも連想させた。宮崎駿、鈴木敏夫、大塚康生に見える時もあれば、庵野秀明、岡田斗司夫、赤井孝美に見える時もあった。
アニメ作りそれ自体をテーマにした作品は『アオイホノオ』や『SHIROBAKO』をはじめ数多くある。この『映像研』が何より素晴らしかったのは、それを宮崎や庵野に匹敵する天才である湯浅政明が作っていたこと。
キャラクターに「これはこんなに素晴らしい」と語らせる作品はいくらでもある。不世出の天才小説家を描いた『響』なんてその典型だろう。響の書いた小説の「素晴らしさ」はただ記号として存在する。実際には僕らの誰もその作品を見ていない。
でも『映像研』は、キャラクターの言葉ではなく、映像それ自体に語らせていた。実際に映像でその素晴らしさを見せてくれるんだ。ゆがんだパース、響き渡る音、作画と3Dのダイナミズム。涙が出るほど素晴らしかった。
世界の神秘を探り、映像づくりの根源へと立ち返る。端的に言って、この10年で最良のTVアニメだったと思う。
TVアニメ『映像研には手を出すな!』OPテーマ「Easy Breezy」