空の青さを知る人よ(4.5) | 想像上のLand's berry

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言葉はデコヒーレンス(記事は公開後の一日程度 逐次改訂しますm(__)m)

空の青さを知る人よ
監督:長井龍雪

概要
 『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』『心が叫びたがってるんだ。』シリーズで知られるクリエイターチーム「超平和バスターズ」が再び結集したアニメ。ミュージシャンを夢見る女子高生、亡き両親の代わりに彼女を育てる姉、売れないギタリスト、過去から時間を超えてきた男子が織り成す不思議な四角関係を描く。声の出演には吉沢亮、吉岡里帆、若山詩音がオーディションで選出され、松平健も参加している。(シネマトゥデイより)

感想
 冒頭、街に響き渡る重いベースの音。「アニメっぽくない…」と思うと同時に、「超平和バスターズっぽいなあ…」とも思う。いかにもなアニメ世界に現実世界のトゲのようなものを差し込んでくる。ひび割れたスマホ、錆びついた弦、なにかそのようなもの。

 『君の名は。』は明らかに『転校生』を彷彿とさせたけれど、こちらは同じ大林宣彦監督の『青春デンデケ』を彷彿とさせる。プロデューサーは『君の名は。』と同じ川村元気。たぶん、意識的にやってるんだろうね。

 閉ざされた狭い世界に生きる少年少女たちの抱く脱出願望と外の世界への渇望は、まんが/アニメにおいても(『惡の華』を筆頭に)多く描かれてきた。この作品はそうした自分たちを未来/現在からこう振り返る。

 「井の中の蛙大海を知らず、されど空の青さを知る」

 テーマ的には『天気の子』にも近いものがあるかも知れない。若い=青い自分の選択をいかに肯定するか…という点で。ただ、『天気の子』の目が十代に…したがって未来に向けられていたのに対して、こちらはむしろ三十代に…彼らの過去との対峙に向けられている。

 その意味では、「超平和バスターズ」の『あの花』を連想させるところもある。あれは幼年期の自分たちに対してハイティーンになった自分たちがいかに向き合うかという話だった。今度はハイティーンの自分たちに対して三十代になった自分たちが向き合う(…と言うか、その両方がある)。

 ラストはややあっさりとしている(絶対、バンド演奏で締めると思ったのに!)。「読後感」は心地いいものの、グサッと突き刺さる感覚は薄いかな。全体を通して、「超平和バスターズ」も丸くなったなあ…とも感じさせた。

 ただ、なんだろうな…すごく「自然」と言うかね。後半は劇の構図に引っ張られてやや記号的な処理もなされているのだけれど、僕がいつもウンザリしてしまうような「ドラマ的」「アニメ的」な臭みは感じられない。

 ちゃんとそれぞれが(物語の奴隷になるのではなく)それぞれの人生を生きている。心にスッと染み込んでくる佳作。

☆☆☆☆★(4.5)


あいみょん –空の青さを知る人よ【movie ver.】