267ぶんの12(たーや卒業公演)
4月1日、たーや(田屋美咲)卒業公演。新年度になり、チケット受付では学生証ではなく講師証を提示する。少しづつ、色んなことが変わっていく。
正直、この公演に応募すべきか迷っていた。生誕だとか卒業公演だとかは、やっぱり推しが入るべきだと思う。それでも、「一応16期推しではあるわけだし…」なんて言い訳をしながらポチッとしてしまった。色んなことがあって、48に忠誠を誓う事は難しい状況だけれど、「好き」の気持ちだけはしぶとく残っている。
「アイドル修業中」に「レッツゴー」に「手つな」に「アンナ公演」…思えば、僕が行った公演には、いつだって笑顔のたーやがいた。昨年は、年間出演回数一位を記録した彼女。僕らは少しだけ、まだあどけなさの残るたーやに甘えていたのかも知れない。アイドルの春は短い。若ければそれだけ時間がある…というわけでもない。
待機列に並んでいると、委員と思しき方たちがブックレットとペンライトを配ってくれる。ロビーで行う「たーやコール」の予行演習はちと微笑ましかった。そんな手作りの卒業公演。
BINGO抽選は端から諦めていた…と言うか、早めに呼ばれても立ち見でいいやと思っていた。今日は「たーや推し」が優先されるべきだ。なんてカッコつけても、とらぬ狸の皮算用。この日もこの日で抽選順は悪い。銅メダル。
いつも通りに陣取るのは…以下略。僕はもう、あの場所に根が生えそうだ。
そして、卒業公演の幕が上がる。
この日のゆいりー(村山彩希)は、いつも以上に子供っぽさと大人っぽさの間でもがいていた。大人のゆいりーは、個人の考えを尊重して、たーやの卒業を後押ししようとする。子供のゆいりーは、寂しがって、「なんだよぅ…行っちゃうなよぅ…」って、ちと拗ねている。
きぃちゃん(佐藤妃星)にメイクを濃くしてもらって、ご機嫌で「25歳(大人)みたいでしょ?」というゆいりーの子供っぽさ。彼女はいつでも、大人と子供の間を行き来している。アンバランスでアンビバレンツな存在であることが、彼女から目を離せなくさせる。
「ウィンブルドン」ではペンライトをなーみん(浅井七海)カラーの青に変える。じつのところ、総選挙中止以来、僕の中での「なーみん推し」もその根拠を失っている。と言うのも、僕にとって「推し」とはまず何よりも「総選挙で投票すること」に他ならなかった。
それでも、青のペンライトを振り、「なーみんコール」をする自分は、たしかに何かに所属しているのだ…という気がする。他の誰のコールをしている時より、「なーみん」というその言葉が口になじむ。この日はレスも飛んできた気がするけれど、今日はそれはノーカンで←
この日の主役はたーや。自信がそうさせるのか、卒業公演という周囲の空気がそうさせるのか、それとも卒業を意識する僕の目がそうさせるのか、立ち位置は変わらなくても、いつもよりスポットライトを浴びているように、輝いているように見えた。
いつからか作った前髪、高めのポニー、スラーッとした立ち姿。バンビのような彼女を見ていると、僕らは今、たしかにひとつの未来を失ったのだ…と気付かされる。たーやの未来はどうあれ、これはAKBにとって紛れもなく損失なのだ…と。
「遠くにいても」では、ステージ下手にいる彼女の姿が、人と人の隙間からちらっと一人きり見える。その瞬間、別れを実感する。オーラス前の「抱きつこうか?」。全力の「16期コール」。お見送りで言った「(AKBに来てくれて)ありがとう」という言葉はかすれ気味で、彼女の耳にはちゃんと届いていなかったかも知れない。
あらためて、AKBに来てくれてありがとう。たーや。
