君は月夜に光り輝く
監督:月川翔
概要
第23回電撃小説大賞を受賞した佐野徹夜の原作を映画化したラブストーリー。不治の病を患う少女と、彼女が願うことを代わりに体験する少年のエピソードがつづられる。NHKの連続テレビ小説「半分、青い。」などの永野芽郁と、『君の膵臓をたべたい』などの北村匠海が主演を務めた。『響-HIBIKI-』などの月川翔がメガホンを取り、甲斐翔真、松本穂香、今田美桜、長谷川京子、及川光博らが共演している。(シネマトゥデイ)
感想
誰がどう見ても「キミスイ」の二番煎じ映画。意図的に狙っているのだろうけれど、「病気×恋愛もの」は正直もうウンザリだ。完全にアウト・オブ・デート(時代遅れ)の感がある。デート・ムービーとしても成立していない。
物語/脚本も、まるで脚本学校を出たての新人が描いたような出来。
作られた純愛、テンプレートの進行、ただ物語にコンフリクト(葛藤)を作りたいがために出てくる母親、予定調和の終焉、説得力のない言葉。痛みもシリアスさもない、ただ視聴者を気持ちよく泣かせるための病。ただファッションのように身にまとう病。ヒロインでさえ、主人公を成長させるための記号に過ぎない。
代替恋愛としての「代行リスト」。0年代以降のラノベでありがちなのは、部活やら同居やら召喚やら、外から枠を設けることで、その「枠」の中で過ごす時間によって男女の関係が進展していく物語だ。逆に言うと、「枠」を設けなきゃ恋愛ひとつも出来ない。たとえば「俺ガイル」なんかはそうした構造に自覚的な作品だ。
一方、これは…この映画は、ただその構造に乗っかっているだけ。言ってみれば、「代行リスト」も「奉仕部」などと同様の「枠」なわけだ。でも、そこに対して何らの批判も自省も働いていない。だからこの映画は薄っぺらい。病弱の美少女をダシに使わなきゃ描けないような「純愛」に、いったいなんの強度があるだろう。
結局、僕がこの映画を見に行ったのは、単に柳田裕男さん(撮影監督)のファンだからってだけだ。「ちはやふる」に「キミスイ」に、彼の仕事はいつも素晴らしかった。それはこの映画でも変わらない。なにかを写すということは、それ自体のうちに、ものごとの痕跡であるという聖なる性質を帯びている。
まして、永野芽郁は、今もっとも写す価値のある女優だ。
それでも、物語がこれだけひどかったら、それも単なる宝の持ち腐れだ。
正直、僕はラストにもういちどあのメイドの子(今田美桜)が出てくることだけを祈っていた。その後の(恋愛)関係を仄めかすカットがひとつあればいい。それくらいの毒が、僕には必要だった。
☆☆★(2.5)