「ゆいりーのいる景色」(TDCソロコン) | 想像上のLand's berry

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言葉はデコヒーレンス(記事は公開後の一日程度 逐次改訂しますm(__)m)

 
「ゆいりーのいる景色」
 
 世界は悲しさで満ちている
 
1.
 こんなに広い会場で、こんなに大勢の人の中で、それでも僕が知っているのはゆいりーだけ。メンバーも来ているのかもしれない。しきりに後方を眺めているお客さんもいる。アリーナ席中列センターブロック。僕はずっと前を見て、ひたすらにゆいりー(村山彩希)を待ち続けていた。
 
 ソロコンが決まった時はじめて、ある行動をした。
 
 「#ゆいりーメール」。このハッシュタグをつけて755やTwitterに投稿すると、ゆいりーがエゴサで見つけてくれる。モバメ(プラメ)の「ソロコンで見たい曲ありますか…?」という質問を見た時に、直観的に「109(マルキュー)」が浮かんで、考えれば考えるほどこの曲がソロコンに相応しいように思えて、思い余ってリクエストしてしまった。
 
 ゆいりー、やってくれるかなあ…
 
2.
 幕が上がる。
 
 ステージの上段から登場した彼女の眼には、チラリと涙が光る。
 
 劇場でゆいりーを見る時、いつも感じるのは彼女の自信だ。劇場の全てを知り尽くしている、その自信が彼女にある種のオーラを与えている。翻って、ここは劇場の10倍近い収容人数で、しかもはじめてのソロコン。半ばアウェーの舞台だ。やっぱり不安だったのかな…。
 
 それでも、会場を埋め尽くしたのは、彼女を愛する人々。満開のリンゴライト。全力のゆいりーコール。単にこのソロコンの準備期間だけじゃなくて、彼女がここまで培ってきたものがそこには現れているようだった。
 
 歌うは彼女の代名詞でもある「シアターの女神」
 
 テンションが上がると同時に、この時点でなんとなく気づいてしまった。「これ、たぶん『109(マルキュー)』はセトリに入ってないな…」。
 
 僕が「109(マルキュー)」を思い浮かべた際に想定していたのは、より物語性の強いセトリだった。でも、入りがこれだけ「王道」だと、おそらくその流れには入っていかない。実際、このコンサートは、「ユニット部門」「コール部門」「パフォーマンス部門」など、企画性の高いセトリになっていた。
 
 なんで自分がコメをしないのかという理由の一端を思い出す。アイドルはすべてのファンの願いを叶えることはできない。全員のリクエストに答えることなんてもちろんできない。それは百も承知だ。頭では分かっているのに、心はそうじゃない。そういう自分を分かっているからこそ、僕はコメをしない、筈だった。
 
 それでも、王道の選曲ではじまったコンサートは、そんな気持ちを吹き飛ばす力があった。劇場と100%同じ…というわけにはいかない。アリーナ八列目は、舞台との距離でいえば劇場の後部席とさほど変わらない。それでも、2000人がいる会場、たった一人で立つアイドル。レスなんざ望むべくもない。
 
 そこにあったのはむしろ、ゆいりーのいる景色。照明の中に、スモッグの中に、トロッコの上に、Bステージの上に、ゆいりーがいる。ここは、「シアターの女神」に捧げられた空間。彼女のための神殿。
 
3.
 自己紹介MCでちょっと空気を緩ませたのち「ユニットパート」が始まる。2曲、3曲…この辺りでバラード曲でも入れてくるかな…と思ったところで、盟友13期登場。なるほど…そう来るのか。13期がいると安心感がある。さっほー(岩立沙穂)もはじめて見られたし、おなじみの「はーやーい」も生で聞けたし、ちとオトクな気分。
 
 続いての「コールパート」は、僕的にはもっともテンションが上ったパートだった。「レッツゴー研究生」公演からの3曲、そして、16期生が登場。ゆいりーと16期の関係を考えれば、予想してて然るべきだったんだ。なのに僕は…不思議なことにそんなことまるで頭になかった。
 
 12月。僕は「推し」のなーみん(浅井七海)に一度も会いに行けなかった。公演は都合が合わず、ゆいりー/ずっきー(山内瑞葵)と同レーンだった全握は(よっぽど行こうかと思ったけれど)体調不良で断念。その上、なぜだかくま(熊崎晴香)も同じタイミングでダウン。時々、あの子のことをひどく懐かしく感じる。
 
 それはともかく。16期登場で僕は少し違うモードに入った。ステージ上にはまなか(田口愛佳)やほんまい(本間麻衣)ちゃんなど4人。なーみんはそこにはいない。3バル上手を仰ぎ見れば、はりま(播磨七海)の姿が小さく見える。なーみんはいったいどこだ…1ヶ月以上会えていない「推し」の姿を求めて、心が騒ぎ出す。
 
 でも、これはゆいりーのソロコン。キョロキョロなーみんを探すというのは、なんだか少し違う気がした。心を後方に引っ張られながら、ステージ上のパフォーマンスを眺める。たぶんきっと、なーみんもステージ上にやってくる筈…。そんなことを思いながら。
 
 久々に見たなーみんは、やっぱり背が高かった(←) どこにいても目立つ。普段、ゆいりーとなーみんが劇場で共演する時は、どっちを見るか迷う…どころか、むしろゆいりーの方を見ていたりするのだけれど、このステージでは「推し」だけをずっと追いかけていた。
 
 まあ、ここくらいはね。
 
4.
 16期が去ったあとは「パフォーマンスパート」。タップダンスは…なんと言うかお客さんが反応に戸惑っていたのが印象的だった。「これ…手拍子したほうがいいのかな…」みたいな、そんな空気の探り合い。慣れていないものには、接し方が分からない。それはみんな同じ。
 
 まあ、こういうパフォーマンス系の特技披露みたいなパート、劇場にもあっていいとは思う(「Green Flash」なんかは、ややその気があるけれどね)。
 
 本編最後は、ゆいりーのセンター曲「それでも彼女は」…歌詞が彼女に共鳴する。アンコールはなぁちゃん(岡田奈々)が発動…客席の反応で来ているの分かっていたけれど、僕の席からはたぶん、その姿は見えなかった。
 
 アンコール明け、みぃ(峯岸みなみ)の「私は私」。コンサートタイトルの「私は私の道を行く」にも響く曲。「私は私」とか、耳が腐るほど聞かされてきたクリシェ(決まり文句)でも、ゆいりーが言うとそんなイヤな感じに聞こえない。それはきっと、彼女の人徳の為せるわざ。
 
 アンコール明けは正直、僕のスタミナがもう切れかけていた。疲れが心身を襲う。劇場の立ち見ではこんな疲れたことなかったのに、この違いはいったいなんだろう。会場の問題(照明/温度)か、セトリの問題か、それとも単に僕のコンディションの問題か。いま思えば、MCでは座らせても良かったのかなと。結果論。
 
 ラストの曲は「Mosh & Dive」。再び会場を駆け巡るゆいりー。ここで、客席に眼鏡みーおん(向井地美音)発見。この距離でも分かるもんだな…。ラストはカラッとした爽やかな終わり方。その辺なんとなく劇場の湿っぽさとの対比を感じた。劇場そのものよりもむしろ、「続きは劇場で」。そんな感じ。
 
 終演後の「お見送り」は、ゆいりーの両サイドをファンが通り抜けていくというウルトラCで実現。しきりに首を左右に振って「お見送り」を行うゆいりー、その目はややお疲れだったかも知れない。
 
 劇場公演をTDCで再現したいという彼女の想いが100%達成されたかは分からない。でも、それで良いんだと僕は思う。だって、他所で劇場を再現できてしまうなら、劇場の価値はなくなってしまう。いまは、あの古びて狭く、薄暗くて湿っぽい劇場がひどく恋しい。
 
 手元には、ゆいりーが差し入れてくれたりんご(の)飴が残っている。これを眺めると心が暖まる。たとえすべてが完璧なコンサートではなかったとしても、それでも、あの子の優しい想いは、TDCの空間を満たしていた。
 

 
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