プーと大人になった僕
CHRISTOPHER ROBIN
監督:マーク・フォースター
概要
世界的な人気キャラクター「くまのプーさん」を初めて実写映画化した友情ドラマ。妻と娘と共にロンドンで暮らす主人公が、幼いころの大親友であるプーさんと再会したことから始まる物語を描く。『ムーラン・ルージュ』や『スター・ウォーズ』シリーズなどのユアン・マクレガーが主人公を演じ、ドラマ「エージェント・カーター」シリーズなどのペギー・カーター役で知られるヘイリー・アトウェルらが共演。『ネバーランド』『007/慰めの報酬』などのマーク・フォースターが監督を務める。(シネマトゥデイより)
感想(注:若干ネタバレします)
本作の監督を務めたマーク・フォースターは、『ネバーランド』の監督だ。
ただ、同じピーター・パンでも、大人になったクリストファー・ロビンがプーと再会する、という話はむしろスピルバーグの『フック』(1991)を連想させる。あれは、大人になったピーター・パンがネバーランドを訪れるという話だった。パパになり、社会人になったピーターパンが子供の心を取り戻していく。
この『プーと大人になった僕』も、大筋は似たような感じ。ただ、方向性はやや違うように思う。『フック』が子供時代への憧憬を漂わせつつ、それでもやっぱり大人であることの自覚を――わずかな切なさとともに――再認識していくのに対して、こちらは子供時代を全肯定する。
ぼくが違和感を覚えたのもその点だ。
社会の歯車として働き、子供の心を失ったクリストファー・ロビン。プーと再会したことで子供の心やプーのテーマである「なにもしないことの大切さ」を取り戻していく。そこまでは別に良い。疑問だったのは、それらを取り戻すことで、仕事も含めたあらゆることが上手くいくという解決になっていたこと。
なんだろうな…たとえ生産性はある程度犠牲になっても、それでも遊びや休暇は人生にとって大事だよ、ってんなら、僕にはなんの異論もない。だけど、遊びや休暇を取り入れれば、生産性も上がって全部オールオッケー…というのはどうだろう。もちろん、そういうケースもあり得るだろうけれど、すべてのケースでそう上手くいくんだったらだれも苦労しない。
だから、ここには嘘があると僕は思う。この映画の解決は、なんらのリスクも背負っていない。それは、「なにもしないことの大切さ」というこの映画の「メッセージ性」を却って損なっている。トゲも毒もない。まさにマスコット的な映画。
ただ、撮影はGOOD。丘の上に佇むクリストファー・ロビンとプーを捉えたシーンは美しい。
☆☆☆☆(4.0)