「記憶に残るステージ」
1.
記憶に残るステージというのがある。
近ごろ、中堅アイドルグループの解散が相次いでいる。このブログでも何度か取り上げたアイルネ…アイドルネッサンスもそのひとつだ。メンバーのひとり原田珠々華ちゃんは、今年のT.I.F(TOKYO IDOL FESTIVAL)にソロとして参加。
後輩グループのAISがアイルネのカバー曲「夏の決心」を披露した時、すでに物語は始まっていた。多くの人がありし日のアイルネを重ね合わせ、想いを馳せる。そんな余韻を残してAISはステージを降り、そうして、ソロの彼女がステージに現れた。
やや緊張した面持ちで、ギターを片手に自作曲を披露。高音がやや不安定だったものの、この時点ですでに圧倒的。お台場の夕空に融けていく透明な歌声。
ところがオケがおかしい。どうやらCDに傷がついているらしい。ここで運営スタッフからストップがかかる。しばらくして、「弾き語り」でやって欲しいと指示が入る。
ここからはもう…彼女の独壇場だった。腹をくくったのか、オケでやっている時よりも、歌声はむしろ安定した。クネクネと身をよじらせるほんわかMCとは裏腹の、強く太いパフォーマンス。
CDを取り寄せてやり直した曲では、ふたたびオケにトラブル発生。最後はまた弾き語り、予定にない曲を披露して締めくくった。トラブルに見舞われるたびに、彼女はより高く高くへと舞っていった。
まるで動じることなく、即座にリクエストに対応していった彼女の眼差しからは、この日のステージにかける強い想いが感じられた。自らのスキルに対する揺るぎなき自信がそれを支えていた。
「芸は身を助ける」
この日のステージはきっと、のちのちまで語り継がれる。
2.
この日の深夜には、「PRODUCE48」で第二回の順位発表が行われた。次々と撃ち落とされていく48候補生。第一回の順位発表後に票数がリセットされているため、今回の順位発表では、この2週間でどれだけアピールできたかが鍵を握っていた。これまでの得票数はなんの保険にもならない。
この2週間でアピール出来なきゃ終わってしまう。なのに彼女たちはメインボーカル/センターを決めるときに手を挙げられなかった。(言葉の問題や文化の違いもあるだろうけれど)それはやっぱり、自分たちのスキルに自信がなかったせいだと僕には思えた。自信がなければ、手を挙げる勇気も持てない。
この日に放送されたコンセプト評価のレッスンでは、48候補生たちも積極的に手を挙げていた。手を挙げなきゃはじまらないということに、ようやく気付いたらしい。でも、時すでに遅し。今週の放送を待つ前に、すでに順位は決していた。多くの子は、コンセプト評価のステージを踏む前に番組を去ることになった。
スキルってのは単にステージ上でファンに見せつけるためだけのものじゃない。それ以前にまず、自らに対する自信をつけるためのもの。そのベースがなければ、仕掛けるべき時にも仕掛けられない。いくら頭では分かっていても、瞬時に身体は動かないんだ。
この日は、なによりその大切さを見せつけられたような気がした。