恋は雨上がりのように(3.5) | 想像上のLand's berry

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言葉はデコヒーレンス(記事は公開後の一日程度 逐次改訂しますm(__)m)

 
「恋は雨上がりのように」
監督:永井聡
 
概要
 眉月じゅんのベストセラーコミックを原作にしたラブストーリー。ファミレスの店長の男と、彼に心を奪われた女子高校生が織り成す恋模様をつづる。メガホンを取るのは『世界から猫が消えたなら』『帝一の國』などの永井聡。『渇き。』『溺れるナイフ』などの小松菜奈、『探偵はBARにいる』シリーズや『アイアムアヒーロー』などの大泉洋が主演を務める。28歳という年齢の差がありながらも心を通わせていく主人公たちの姿を繊細に描く。(シネマトゥデイより)
 
感想
 いかにも雰囲気よさげに作られていたアニメ版。ぼくはなんか…「グワーッ!メンドクセエ!」と、シーズン中盤で見るのを止めてしまった。
 
 翻って、実写版のオープニング。カメラはドローンで空を飛び、教室へとスーッと近づいていく。窓際に座る小松菜奈。そこからは流れるようなカメラワーク。あきら/小松菜奈の躍動感を表すように小気味よくカットが積み重ねられていく。良いね。こういうカメラワークは好きだ。音楽もアップテンポで、アニメ版とはかなり印象が違う。このオープニングは100点だな…。
 
 「セカネコ」の時にも感じたけれど、この監督はこういうMV風の映像を撮るのはとても得意だよね(ちなみに、今作でカメラを担当しているのは、ぼくも好きな写真家の市橋織江さん
 
 だけどもちろん、このままのテンポでは続かない。空を飛ぶように走るあきらが怪我をしたところから、本当の物語が始まる。ただ、そこからは正直、かったるい。なんだろうな…心理描写の繊細さもあまり感じないんだよな。別にキュンキュンもしないし(←)ぼくはそもそもこの原作が苦手なのかも知れん。
 
 キャスト。原作/アニメではどう見ても見た目「後藤隊長」(パトレイバー)の店長役に、大泉さんは…まあ、ありかなあと。小松菜々ちゃんははまり役。一時期ほどの圧倒的な力(透明感)は失せているようにも思うけれど、それより何より足の破壊力が!…って、なんか最近こんなことばっかり書いてんな…(・_・;)
 
 ただ、実年齢ハタチ越えの小松さんを使っていることで、全体が「パフォーマンス」っぽくはなっている。純情な女子高生の熱意に翻弄されるオジサンみたいな「おかしみ」は大分失せていたし、年齢のギャップが(ある程度)埋まっていることで、葛藤の説得力も薄まっていたように思う。デートの絵面もそこまで違和感がなかった。
 
 「17」と「45」ってのが作品の肝だった筈なのに、なんでそこを避けたのかって疑問は残る。それでも、小松さん自体はハマリ役だと思うし、女子高生役もまあそういうもんかと受け取ることは出来る(あの子は美人すぎて年齢不詳というか)。むしろ気になったのは、あきらの親友はるか役の清野菜名さん。高校生にはとても見えんかったな…。
 
☆☆☆★(3.5)
 

 
追記:「心理描写の繊細さもあまり感じない」「別にキュンキュンもしない」って話。
 
 原作を読み返してみた。で、「実写版にはこういうシーンなかったなあ…」と思ったのがこれ↓。店長と話したあきらが部屋を出たあとの一コマ。このコマが入ることで、無愛想なあきらの「いじらしさ」みたいなものが垣間見えるわけだけれど、実写版は基本的に「出来事ベース」で物語が進むから、こういうモノローグはほとんど入らない。
 
イメージ 1
『恋は雨上がりのように 第一巻』
 
 映画全体のリズムとかテンションを考えれば、実写版にもこういうシーンを入れるべきかどうかは考える余地がある。けれど少なくとも、モノローグとか出来事の間のちょっとした「余白」(心情を表すような)がないことによって、心理描写が薄まっていたのは確かだと思う。
 
 もうひとつがこれ↓。あきらが怪我した時、店長が病院につれて行こうとするんだけれど、触れていいものかどうか一瞬「迷う」シーン。これなんか、「女子高生」と「おっさん」という距離感がよく現れているシーンだと思うのね。
 
イメージ 2
『恋は雨上がりのように 第一巻』
 
 ところが、このシーン、(ぼくの記憶がたしかならば)実写版ではほとんどノーモーションで抱えに行っていたように思う。 だから、なんだか違和感があって。なんだろう…微妙に「ヒーロー」(*)っぽく見えてしまったというか…「ヒーロー」なら「ヒロイン」と結ばれるのがむしろ自然なわけで…でも、原作が描きたいのは本当はそういうことじゃないはずで。 
(*この店長は自分をもはや「物語の主人公」だとは思ってない人なんだよね。あきらの熱とか、小説への想いでそういうものを徐々に取り戻していくわけで。その過程とか途中の揺らぎこそがむしろ重要なわけで)
 
 このシーンに代表されるように、実写版では、店長の「迷い」とか「葛藤」が(セリフには現れていても)実際の演出としては(あまり)現れていないんだ。「概念」だけがそこに置かれているような感じで、「皮膚感覚」としては伝わってこない。
 
 この実写版は全体、出来事をただ左から右へと処理していくというか…。それがなんだか単純作業を見せられているようで。そのことが結局、「かったるいなあ」という印象(「心理描写の繊細さもあまり感じない」「別にキュンキュンもしない」)に結びついているのかな…とφ(..)
 
 一言で言えば、この実写版には「迷い」がないんだ。