夜明け前90’s。曇天に一点の紙魚。行方知れずの想いは線路に融けていく。
空はなんのために闇に染まるだろう。茜色の空に、流れていく人並みに、別れの面影を思う。焦がれていた灰紫は紅に染まり、遠く遠くの月はいつでも同じ顔を見せる。そこかしこから現れる黒い瞳は、ままならない身体を引き摺りながら、虚空を睨んでいた。
感傷はなんの意味も持たないね。どうしても止まれなかった止まり木をネッカチーフに包み、それだけでぼくの荷物はいっぱいだ。心を濁してしまわぬように、儚く緩やかにはるか遠くのものを。6万光年の光に融けて、透明になって。
詩への渇望とか、風に弾けるシャボンとか、そんなことはきっと、どうでも良くって。そこにαは見えなくて。それでも道は開かれて、また地下へと潜ってゆく。 群青のオキザリス。あの寒空の下、焼け焦げた雪虫はどこへ行こうとしていたのか。アイオライト。心を闇に染めて。せめて人並みに。