ベイビー・ドライバー(4.5) | 想像上のLand's berry

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言葉はデコヒーレンス(記事は公開後の一日程度 逐次改訂しますm(__)m)

 
​ベイビー・ドライバー (2017)
BABY DRIVER
監督:エドガー・ライト
 
概要
 『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』などのエドガー・ライト監督のクライムアクション。音楽に乗って天才的なドライビングテクニックを発揮する、犯罪組織の逃がし屋の活躍を描く。『ダイバージェント』シリーズなどのアンセル・エルゴート、テレビシリーズ「ハウス・オブ・カード 野望の階段」などのケヴィン・スペイシー、『Ray/レイ』などのジェイミー・フォックスらが出演。主人公のユニークなキャラクター、迫力満点のカーアクションに注目。(シネマトゥデイより)
 
感想
 一部で熱狂的な支持を生んでいるこの映画。
 
 なによりも音と映像の絡み合いが心地よい。ただ、それだけではなく、少し不思議な映画だ。感覚的な心地よさ(ローコンテクストな部分)と、膨大な映画的背景(ハイコンテクストな部分)とが同居している。
 
 『ザ・ドライバー』をはじめとした数々のカーアクション、『レザボア・ドッグス』をはじめとした数々のクライムサスペンス…さまざまな映画を連想させる。ありがちな引用映画という感じはない。単に引用元をパッチワークあるいはリミックスするのではなく、それを見ている視線そのものを作品のうちに取り込んでいる。
 
 イヤホンで耳を塞ぎ、犯罪にも積極的に関与しない、ただそれを眺めている。この主人公は、作品に現れる様々な映画的風景の中に入り込むというよりはむしろ、その手前を音楽とともに横切っていく。それはどこか水族館のトンネルを思わせた。つまり、主人公は、ある意味では景色の中(トンネルの中)にはいるのだけれど、でも景色そのものの中(海中)にはいない。
 
 まるで、映画の内から映画を眺めているような…。それはおそらく、エドガー・ライト監督自身の心象風景なのだろう。そうして、映画の最終盤になって、主人公ベイビーは、この映画的風景のトンネルを抜け出していく。そこではじめて、作品世界は彼自身の世界になる。その切り替えは見事だったなあ…。
 
☆☆☆☆★(4.5)