カーズ/クロスロード (2017)
CARS 3
監督:ブライアン・フィー
概要
自動車たちの世界を舞台に、スポーツカーのライトニング・マックィーンの活躍を描いた人気シリーズの第3弾。最新型のレーサーに勝てなくなった上に、事故でクラッシュしてしまった彼が引退を考えて苦悩する姿を、仲間たちとの絆を絡めながら追う。監督を務めるのは、『カーズ』シリーズなどに携わってきたブライアン・フィー。シリーズ前2作の監督でもあるジョン・ラセターが製作総指揮を務める。(シネマトゥデイより)
感想
『オトナ帝国』『トイストーリー3』あるいは『STAND BY MEドラえもん』…一般的には「名作」とされる(かも知れない)それらを、僕がいまいち気にくわないのは、それらが「成長」を謳い上げるからだ。もちろん、成長それ自体は別に否定されるべきものではない。むしろ、ドラマの進行とともにキャラクターの内面が成長していくのは、映画の王道とさえ言えるだろう。
ただ…成長することで失ってしまうものもある…それは、無限に広がっていた可能性。成長することによって、ひとつの物語に収斂されてしまう。
「しんちゃん」も、「ドラえもん」も、あるいは「サザエさん」も、みんな成長しないことで、永遠の春を謳歌してきた。今でもそれらが…作者の死後でさえ…命を保っているのは、なにより成長しないからで。ぼくらはいつまでもその中で遊び続けることが出来る。良かれ悪しかれね。
『オトナ帝国』は、それにヒビを入れることで「名作」になり得たわけだけれど、それ以降(より正確には『アッパレ戦国』以降)「クレしん映画」は長い冬の時代を迎えることになる。『STAND BY ME』は…まあ、別物だったからあまり影響なかったけれど。
『カーズ3』も、それらと似た匂いがする。もちろん、『カーズ1』でも内面の成長は描かれていたのだけれど、今作で描かれる成長はそれとは異質だ。
代替わりすることで、これまで若きスターだったマックイーンが、今度はかつてのドックのようにじいさん扱いされる。やりたいことは十二分に分かる。同じような物語を、視点を変えて描くことで、誰にも訪れる「老い」にどう向き合っていくかが提示される。シネフィルだったら賞賛するところだろう。
ただ…それが、この世界に合っているかどうかは、また別の話。だって、T型フォードがまだ元気に生きている世界で、どうしてドックだけが亡くなっているのか…(それはもちろん、声を演じていたポール・ニューマンが亡くなったからだけれど)いまいち説得力がない。
ちゃんとお手入れをしてあげれば、100年だって(たぶん)200年だって動くのが車。車は車であって、人間ではない。人間のようだけれど、人間じゃない。この映画あまりにも人間くさくて、その感覚がやや失われている。それはつまり、これを「カーズ」でやることの必然性があまり感じられないということ。
まあ、ほとんど意味不明だった2に比べたら、全然マシだけどね~。
☆☆☆☆(4.0)