2017 8/14 18:30 | 想像上のLand's berry

想像上のLand's berry

言葉はデコヒーレンス(記事は公開後の一日程度 逐次改訂しますm(__)m)

 
「これはぼくにとって、世界中でいちばん美しく、またいちばん悲しい風景です」
 

 
  ここにくるたび、『星の王子さま』のそんなセリフを思い出す。なぜいつも、そんな気持ちにになるのだろう。自ら望んで来ているのに。あの子がハタチになってはじめての公演。
 
  3列目、7列目…そして今度は最後列。ぼくの気持ちを見透かしたように、くじ運は悪くなっていく。ぼくは星の周りを周りながら、遠心力で遠ざかっていく衛星。地球の重力に惹かれ、その重力によって引き剥がされていく月。
 
  なんでこんな苦行みたいな気持ちでいるんだろう…。わざわざお盆のラッシュに出かけて、立ちっぱなしで何時間も電車に乗って、炎天下のなか、わざわざ名駅から栄まで歩いて…そんな想いをしても楽しめないのは、別に最後列だったからじゃない、パフォーマンスに不満があったからじゃない。あの子にはなにも罪はない。単にぼくがこういう奴だって話。
 
  こんな沈痛な顔をしていたら、「フェスティバル」ってより「お通夜」だよね。お見送りのとき、ぼくはどんな顔をしてあの子に手を振ったろう。あの子はぼくにどんな…
 
  ダメだ…思い出せないや。思い出せるのは、なんとなく声もかけずただ手を振っていたぼくを、須田ちゃんが満面の笑みで身を乗り出して「ありがとう!」って言ってくれたこと。
 
  いま目を瞑れば瞳に焼きつくサイリウムの海。いつも引け目を感じてる。握手会には行けない。あの空間は、ぼくにはムリだ。公演だって、ロクに声援も送れやしない。サイリウムだってリズムに合わせられない。気が付けばボーッとしている。
 
  ここではぼくは何者でもない。まるでカオナシだ。表情なく、ただ貪欲だったあのカオナシ…。カオナシみたいな顔をして、ぼくはあの子になにを望む? 
 
  思い通りになって欲しいのか。それとも、ただありのままでいて欲しいのか。きっと、どっちも違う。前者は単にぼくの妄想に過ぎず、結局それはぼく自身でしかあり得ないから。後者がイヤなのはきっと、ぼくの入る隙間がないから。そもそもぼくが居ようが居まいが、あの子があの子であることには変わらないわけで…
 
  ぼくが望むのは…それらが混ざり合うこと、あの子があの子でありながら、自らの意志でぼくと同じものを見ていてくれること…。それがムリだってことはもう気付いている。だからこそ、心が引き裂かれるような気分になる。あるいはアウフヘーベンすること。だけど、妥協点を探ろうにも、ぼくはそもそもコメすらしない。そんなのただのワガママだってことも分かってる。
 
  おぎゆかを見ていて辛い気持ちになる時があるのは、ぼくがここで「あの子にこうして欲しい」って書いたことごとくを、おぎゆかがみんな叶えてくれるから。それは別に、ぼくに従ったわけじゃない。言うまでもなく。そもそも読んじゃないだろうし、時系列だってバラバラだ。単に、おぎゆかが見ているものと、ぼくの見ているものが一致しているって話(少なくとも今は)。
 
  それが、胸の辺りをチクリと刺すことがある。
 
  さっき公演を見て…あの子がそこにいて、ぼくもそこにいた筈なのに、なぜだかこんな話ばかりしてる。不思議だね。別に「楽しかった~♪」「かわいかった~♪」って感想だけでいい筈なのに。アイドルの応援はそれが正しい筈なのに。ゆっふぃーだって言っていた。「推しは褒めて伸ばせ」
 
  なぜだろう。あそこの場所は…ぼくとあの子の関係性を…むしろその関係のなさを…前景化する。眩いサイリウムの海のなかで、ぼくの赤紫の小さな単推しサイは、電池を替えたばかりだというのに、弱々しく光っていた。あまりに弱々しくて、それはまるで、ぼくのこころの灯火みたいだった。
 
  あの子はあの子で精一杯やっていて。あの子はあの子で一生懸命考えていて。あの子はあの子でちゃんと大事にしてくれるファンがついていて。あの子はあの子で…
 
  ぼくはぼくで…
 
  今日はよこにゃんが2分間MCで来ていた。はじめてのよこにゃん。可愛かったな…。よこにゃんには無邪気に「よこにゃ~ん♪」って言いたい気持ちになる。それはきっと、ぼくにとってよこにゃんが…あの子より遥かに…軽い存在だからで…。
 
  いつだか、姫乃たまさんがブログに書いていた。ファンの話。「たまちゃんのこと本当に好きだったけど関係が崩れちゃうから、気持ちを落ち着かせました。もう大丈夫なので、これからもよろしくお願いします」と言われたという話。
 
  ぼくは、その気持ち、少し分かる気がする。
 
  ロクに睡眠も取らず、一日中列車に乗って、歩き疲れていつものネットカフェに辿り着く。まるで砂漠のオアシスみたい。ぼくが望むのは、たった一畳のパーソナルスペースと、このタブレットが世界に繋がっていること。
 
  ねえ、くま?
 
  ぼくの一輪の花。今日もちゃんと咲いてたよ。