君の膵臓をたべたい(5.0) | 想像上のLand's berry

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言葉はデコヒーレンス(記事は公開後の一日程度 逐次改訂しますm(__)m)

 
君の膵臓をたべたい 
 
監督:月川翔
 
概要
 住野よるの小説を映画化。膵臓(すいぞう)の病を患う高校生と同級生の“僕”の交流を、現在と過去の時間軸を交差させて描く。『エイプリルフールズ』などの浜辺美波と『あやしい彼女』などの北村匠海が主演を務め、現在の僕を小栗旬、ヒロインの親友を北川景子が演じる。監督は『黒崎くんの言いなりになんてならない』などの月川翔、脚本は『アオハライド』などの吉田智子が担当。(シネマトゥデイより)
 
感想
 インパクトの強いタイトル。「泣き」を売りにしたCM。ハイキーでイマドキの映像。若者受けしそうなキャスティング。これね、そういう要素だけを並べたら…シネコンでいつも一本はやっているような「高校生カップル向けムービー」か、あるいは「お涙頂戴ムービー」のように見えるかも知れない。
 
 でもね。これ、違うんだよ。もちろん、そういう要素はあるけれど、違うんだ。小栗旬くん(銀ちゃんからのふり幅でか!)から北村匠海くんに切り替わった瞬間にガクッとくるけれど、浜辺美波ちゃんの演技はたまにやり過ぎて鼻につくけれど、脚本は伏線はり過ぎて展開読めちゃうけど、違うんだ。
 
1.
 これは…ぼくにとってはまず、『ちはやふる』の撮影監督である柳田裕男さんが撮った作品だ。はじまってすぐ、「なんか柳田裕男さんっぽいなあ…」と思ってみてたら、柳田さんだった←これ、前も似たようなことあって。それって要は、彼の映像にはそれだけの「作家性」が刻み込まれているってこと。撮ったと知らなくても、撮ったと分かってしまうんだから。
 
 ハイキ―で撮って、白っぽくなるところをデジタルで彩度を上げて、そうして現実世界よりも明るくて彩度の高い、ほんのちょっとだけ夢みたいな映像を作る。そこに加えられる「差し色」。屋上で語り合う2人。『ちはやふる』では「赤」が印象的だったけれど、今回はなにより「緑」と、「緑×赤」が素晴らしい。
 
 もうさ…ずっと見ていられるよね! 
 
 彼の映像では、色彩が自らの生命を生きている。ただ赤が赤であるだけで、ただ緑が緑であるだけで、ただ赤と緑が組み合わさるだけで、それだけで、これだけ素晴らしいと思えてしまう。世界は美しいと思えてしまう。それらのものが現実にはそんな色じゃなくても、そういう色がこの世界にあるってこと自体が素晴らしいと思える。
 
 世に映画は数あれど、いま柳田裕男さんがやっている仕事は図抜けている。他の何をおいても、いま見るべき映像がここにはある。撮影監督って、あまり光の当たらない仕事だけれど、もっと注目されていいなあ…って。
 
2.
 画面をけん引するのは、浜辺美波ちゃんの圧倒的な魅力。まるでキラキラが服を着て歩いているような、なんなのあれは? さっきも言ったように、演技的には時々「やり過ぎじゃないか…」って思えるところもあるけれど、でもそんなこと問題にならないくらいの圧倒的なキラキラ感。
 
 あまりにキラキラし過ぎていて、まったく病人には見えないのだけれど、あれは意図的だよね。そのことによって、その名のとおり「さくら」のような儚さゆえのキラキラ感というかな…ただキラキラしているだけじゃなくて、その陰にある儚さも…そこにある芯の強さも出ていて…とっても良かった(゚∇゚ノノ"
 
3.
 この監督さんの演出も良かった。ところどころさ、ご都合主義のラノベ(=意味もなく根暗な主人公がモテる)みたいな、ありがちな展開を意図的に見せるんだけれど、冒頭の流れから、ぼくらはそれがそうじゃないことが分かるわけで…
 
 「ご都合主義のラノベ」も、それはそれで良いところがあると思うのね。ぼくも好きだし。そうした作品にある、いい意味での「こそばゆさ」みたいなものは維持しつつ、そこに悲しみや切なさや…少しのトゲのようなものを加えることで、青春の深みとか繊細な色合いを出している。もちろん、原作自体がそうなっているんだろうけれどね。
 
 これは、平凡の皮をかぶった宝石…のような作品だ。
 
☆☆☆☆☆(5.0)