夜は短し歩けよ乙女 (2017)
監督:湯浅政明
概要
第20回山本周五郎賞、第4回本屋大賞第2位に輝いた森見登美彦の小説をアニメ映画化。京都の移りゆく四季を背景に、パッとしない大学生と彼が片思いする後輩の恋の行方を、個性的な仲間たちが起こす珍事件と共に描く。主人公の声を、テレビドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」などの星野源が担当。監督の湯浅政明をはじめ、脚本の上田誠、キャラクター原案の中村佑介ら、森見原作によるテレビアニメ「四畳半神話大系」のスタッフが再集結する。(シネマトゥデイより)
感想
夜を何から語ろうか?
森見さんや万城目さんは、京都を舞台に、そのほんの少しだけ隣にある異世界との境界を描いた。夜の帳に、薄汚れたアパートの二階に、そうした世界は顔を覗かせる。この「魔境」を通して物事を見ると、普段、気にも留めないような何気ないことさえ、なんだか特別な物のように思える。
森見さんで特筆すべきは、彼の作品の大半を貫いている想像力が大学生のそれであるということ。多くのアニメが高校を舞台として描くなかで、森見さん原作のテレビアニメ『四畳半神話大系』は、ひときわ異彩を放っていた。
原作:森見登美彦、監督:湯浅政明、脚本:上田誠(ヨーロッパ企画)のトリオが再び組んで制作したこの映画は、僕にとっては決してこうではなかった、だけど、ほんの少しはこうであった大学生活…夜の下北の雑然としたノイズや、夜明け前のガランとした大崎の生ごみくさい空気や、そんなものから垣間見えた大学生活の夜を描いている。
そして、本来はこうあるべきだったのだ、とさえ思わせる。この映画を見ていると、「お酒」や「古本」や取るに足らない学園祭のステージ、あるいは「風邪」であってさえも、この上もなく素晴らしい人生の宝物のように思える。僕自身はほとんどお酒を飲まないのにね。あのお酒のなんと美味そうだったことか!
それらを支えているのは、圧倒的な作画の力。あゝ…なんと素晴らしい…。『クレヨンしんちゃん』の「ケツだけ歩き」を彷彿とさせる「詭弁踊り」の…あの動きを見よ! あれこそが、絵が生きているということだ(思えば、僕が湯浅さんと出会ったのも、『雲黒斎の野望』のうねうね作画であった)。決してリアルでは再現できないあの詭弁踊りの、そして、夜風に舞う衣服のはためきの、なんと魅力的なことよ。
まるで四季を通り抜けるような長い長い夜。ジェットコースターのように駆け巡っていくイメージの奔流。花澤香菜の聡明でかつキュートな声。あの春風のような声。新妻聖子の圧倒的な歌唱力。夜に花を咲かせるすばらしい歌の力。そしてそして、アニマ(息吹)を吹き込む作画の力。あの動きを見よ!!
たしかに、日本アニメの王道とは、あまりにかけ離れている。人を選ぶのも確かかも知れない(Yahoo!映画のレビュー平均もあまり高くない)。でも…
ぼくは断言する。これは、宮崎駿(作品)以来の傑作だ。
☆☆☆☆☆+(5.0+)
Must-see!