劇場版 艦これ (2016)
Fleet Girls Collection KanColle Movie Sequence
監督:草川啓造
概要
実在の艦艇を擬人化した「艦娘(かんむす)」を育成・強化する人気シミュレーションゲーム「艦隊これくしょん-艦これ-」の劇場版アニメ。テレビ版に続き特型駆逐艦の「吹雪」を中心に、人類を脅かす謎の敵「深海棲艦」に立ち向かう艦娘たちの戦いを描く。監督の草川啓造、声優の上坂すみれらテレビ版のメインスタッフおよびキャストが再集結する。(シネマトゥデイより)
感想
『この世界の片隅に』と『艦これ』、同じものを扱っていても、アプローチはまるで正反対だ。『この世界の片隅に』は徹底的に調査することでありのままを描き、記号化を拒否する。対して、『艦これ』は徹底的に記号化して描く。
同じ重巡「青葉」を描くにしても、これだけ違う。ぼくは、どちらのスタイルも好きだし、それこそが日本のアニメとかゲーム…要は2次元文化が培ってきた幅だと思える。
1.
もともとがブラウザゲームの『艦これ』。TVシリーズを最初に見たときの印象は、「え? 艦娘って、こうやって戦うの?」ってことだった。まるで水上スキー。ゲームでは静止画のイラストが出るだけだから、その辺のイメージが掴めていなかった。
つまるところ、ゲームとアニメは違うって話。
『艦これ』の特徴は、無数の艦娘がいて、それぞれに独自のイラストと音声が付いていること。プレイヤーたる提督は、その中から自分の好きな艦娘を育て、編成する。つまり、それぞれの艦娘がみな、潜在的な主人公であり「俺の嫁」なんだ。
それをひとつの物語に落とし込もうとすると、どうなるか。物語を語る上では、キャラクターにそれぞれ役割をふる必要がある。実際、アニメ版は吹雪を主人公とした物語になった。そして、ゲームとのこの構造の違いが問題を生んだ。
TVシリーズで如月を沈めた時に、この問題が顕在化する。つまり、「俺の嫁になんてことしてくれんねん!」ってこと。そりゃそうでしょうよ。分かってない方が悪い。アニメ版『艦これ』が「失敗」したのは、その辺を理解していなかったからという、その一点に尽きる。
2.
映画版はまるで、その失敗をどうにかして取り戻そうとして作られたみたいだ。つまりこれは、どうやって如月を取り戻そうとするかの物語。
でもね…『艦これ』のゲームシステム上、「轟沈」してしまうと本当は二度とは戻ってこないわけで。それこそが肝なわけで。つまり、ここでもまた、アニメとゲームのかい離が生じている。自分たちの失敗を取り戻そうとして、再びゲームの構造から離れてしまった。
ぼくは、別の何かを見ているような気分がずっとしていた。「ああ…そういう設定になさるんですか…」って感じ。
精神世界で片づけるところも、『エヴァ』だか『まどマギ』だかって感じで、いかにもアニメっぽいなあ~って。なんかもうこういうの食傷気味だなあ…って。『艦これ』は物理的に解決するゲームなのに、気持ちの問題で処理しようとするとか違和感あるなあ…って。
キャラクターデザインもそう。ゲームでは複数の絵師が描いているわけで、必ずしも絵柄が統一されているわけじゃない。だからアニメ用に統一すると絵柄が変わってしまう艦娘がいる。それに、動かないことを前提にしているイラストと、動くことを前提にしているアニメ絵とではやっぱり違うのよね。
絵柄を変えられ、動くように変換されることで、もう「お前…誰や…」みたいな…ぼくの好きな川内が…「お前…誰や…」みたいな!←
そんなこんなで、ゲームの『艦これ』がここにある…って感じは最後までしなかった。早い話が別物。
3.
別物として見れば、序盤の夜戦はなかなか雰囲気良かった。暗闇の中、波濤を越えながら探照灯を照らして戦う艦娘たち。第一次ソロモン海戦で敵輸送船団をほったらか…さずとか、レイテ(じゃないけれど)で栗田艦隊が反転…せず、みたいな「if小ネタ」もぼく的には楽しめた。
ところが、段々と物語が暗くなっていって、後半に入ると精神世~界…カタルシスな~い。なんか物足りな~い…って感じで、結局、別物として見てもいまいちだった。なんか、作り手の独りよがりで失ったものを、また別の独りよがりで取り戻そうとしている感じ。結局、娯楽性がどこかへ置いてけぼり…みたいな。
まあ、上坂すみぺが好きだから+0.5←
でもやっぱり、「俺の嫁」祥鳳さんが出とらんかったから-0.5←
☆☆☆★(3.5)