マダム・フローレンス! 夢見るふたり
FLORENCE FOSTER JENKINS (2016)
監督:スティーヴン・フリアーズ
概要
ニューヨーク社交界の顔にしてソプラノ歌手でもあった実在の女性、フローレンス・フォスター・ジェンキンスをモデルにしたドラマ。絶望的な音痴であるにもかかわらずソプラノ歌手になる夢を追う彼女と、それをかなえようと奮闘する夫の姿を描く。監督は、『クィーン』などのスティーヴン・フリアーズ。アカデミー賞の常連メリル・ストリープと、『アバウト・ア・ボーイ』などのヒュー・グラントが妻と夫を快演する。インパクトのある歌唱シーンや、夢を持つことの尊さを訴えた物語に魅せられる。(シネマトゥデイより)
感想
「ラブコメの帝王」ヒュー・グラントって時点でもう、ぼくは大体どんな物語か想像できる。こう見えて(どう見えて?)ヒュー様好きなんだ。「好きな俳優は…?」と聞かれたら即座に、そしてちょっと食い気味に、「ヒュー様!ジャックマンじゃない方!」って答えるだろう。
ヒュー様のキャラクターって、だいたいいつも決まってる。ハイソサエティに属していて、綺麗な英語を話して、弁舌さわやかで、ハンサムで、女たらしで、優柔不断で、そして、とても優しい目をしている。
物語もまた同様だ。ちょびっとシニカルで、ユーモアに満ちていて。人生は複雑で、単純じゃなくて。貧困なんかとは無縁だけれど、でも彼らなりの人生の四季があって。それでもどこか、暖かさに満ちていて。
この映画もまた、そうした類型にピタリと当てはまっている。ただ、決してワンパターンってわけじゃない。「夢を追う」ってのは少し違うな…これは、要は現代版の「裸の王様」なんだ。自分が音痴だって気付いていない「女王」と、それをひた隠しにして支える亭主の物語。
そこにはもちろん喜劇的要素がある。だから面白いのだけれど、見ている内に、「そうか…歌って別に上手い人だけのものじゃないよな…」ってことに、気付かされる。もちろんそれは、ドルヲタである僕が分かっている筈のこと。
ラストの流れはとても良いな…。Wikiにも載っている有名なセリフ、「People may say I couldn't sing, but no one can say I didn't sing.」がドラマティックに聞こえる。その前の「I could never sing again, except to you.」って歌詞も、ヒュー様の「Bravo! 」って言葉も染みる。
実話とは云え、かなり作り込まれている感じはあって、どこか寓話的な薫りのする作品。
☆☆☆☆★(4.5)