「籠の鳥」
2月。お披露目。僕の目は節穴だ。7月、目まぐるしく移り変わる表情に心を奪われた。8月、生誕祭。世界のすべてが新鮮に見えているような、その真っ直ぐな瞳だけは、ずっと変わらないでいて…そう願った。
1月、センター。研究生を従えるジャンヌダルク。世界の中心に君がいる。2月、昇格。4月、骨折。がむしゃらさ故の怪我は「らしく」もあったけれど、あゝでもなんで、よりにもよって…。5月、小さな奇跡。速報ランクイン。7月、復帰。選抜入り。ステージにいるだけで、この世界のすべてが浄化されるような、そんな気がした。
10月、S学。ただはしゃいで、微笑んで、そんな姿が大好きだった。いつだってハイテンションで、いつだって大真面目で、いつだって全力で…でも、時には落ち込んで。時間ギリギリにドバっとくるモバメは、その生真面目さを表しているようで微笑ましかった。
僕はいつも、そんな姿に慰められ、元気づけられ、時には同じように落ち込み、なんでこんな子がもっと上に行けないんだって、そんな世の中は間違ってるって、ずっとずっと、そう思っていた。
いつしか…いつしか君は忙しくなって、あれほど欠かさなかったブログも途切れがちになった。せっかく始めたツイッターも、相変わらずテンプレートな文面で。それでも、ステージに立てば光を見せることもあって。センターに立つ姿を見れば嬉しくって。いつもの笑顔を見れば心が暖かくなって。
ずっと同じ夢を見ていたかった。その夢をほんのひとかけらでも支えていたかった。暮れてゆくグループのなかで、それだけが僕を留めるたったひとつの理由だった。
それなのに、君が嘘をついた、髪を染めた、(誤解でも)そう思えたってだけで、心が麻痺してなにも感じられない。世界のすべてはモノクロームで。どうしようもなく、あの秋空を埋め尽くすひつじ雲のところへ行きたくなる。
なんで僕は、たったそれしきのことで、こんなにも気に病んでしまうんだ。本人の人生だ、それくらい好きにやらせてやれよって、あんなに頑張ってるのにって、それでも応援するのがファンだろって、そんなこと100も分かってるんだ。それしきのことでファンを辞めようとするなんて、どんだけ小さいんだよって。
僕はきっと、ただ単に自分のお気に入りを籠の鳥に閉じ込めて置きたいだけなんだ。時々、どうしようもなく、そんな自分がイヤになる。