白鯨との闘い(3.5) | 想像上のLand's berry

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言葉はデコヒーレンス(記事は公開後の一日程度 逐次改訂しますm(__)m)

 
『白鯨との闘い』
IN THE HEART OF THE SEA
 
2015年アメリカ、122分
 
監督:ロン・ハワード
 
主演:クリス・ヘムズワース
 
概要
 ハーマン・メルヴィルの「白鯨」の裏側に迫るナサニエル・フィルブリックのノンフィクション「復讐する海 捕鯨船エセックス号の悲劇」を基に描く驚異のサバイバルドラマ。19世紀を舞台に、白い大型のマッコウクジラと捕鯨船の乗組員たちとの壮絶なバトルを描く。主人公を『アベンジャーズ』シリーズなどのクリス・ヘムズワースが演じ、『ダ・ヴィンチ・コード』などのロン・ハワードが監督を担当。大海原で繰り広げられるクジラと人間の究極の闘いに息をのむ。(シネマ・トゥデイより)
 
感想
 以前、『ウォルト・ディズニーの約束』のレビューで「正直、現代だとファンタジーをそのまま受け取るのはむずかしい」と書いた。そうした時、作品外部の環境をも作品の内に取り込むということが起こる。『メリーポピンズ』を焼き直した同作や、『ピーターパン』を焼き直した『ネバーランド』がその典型だろう。
 
 それは何もファンタジーに限ったことではないのかも知れない。いかな古典と言えど、繰り返し語られているうちに「陳腐化」するということが起こり得る。それはまずパロディの種となり、やがてはそれさえも陳腐化していく。もはや誰も真っ直ぐにはそれを受け取らない(高畑さんが『かぐや姫』で「失敗」したのは、そのことを分かっていなかったからじゃなかろうか)。
 
 そんな時になされるのが、その作品が作られた文脈(作品外部の環境)を取り入れて作品化するということだ。こうして、現実への階梯を一段上がることで、その古典は現実内での位置を与えられ、新たな息吹が吹き込まれる。
 
 本作、『白鯨との闘い』は、もちろん名作『白鯨』を基にした・・・のではなく、『白鯨』の基になった実話を映画化したものだ。このことによって、劇中のマッコウクジラが、かの「モビィ・ディック」のように見えると共に、フィクションである『白鯨』との距離感によって、実話としての迫真性が与えられる・・・はずなのだけれど。
 
 ただ、どうもこの映画は綺麗すぎる気がする。映像も俳優も、描写もなにもかもが綺麗すぎて、むしろ作られたものだという印象が強い。結果として、虚構の方に回収されてしまっている。「あの背景には、こんな実話があったんだ・・・」という驚きも薄まっているから、その意味で、『白鯨』を再生することにも失敗している。
 
 映像は本当に綺麗なんだけれどね。
 
☆☆☆★(3.5)
物語4.0
配役3.5
演出3.5
映像4.5
音楽3.5