海難1890
2015年日本、132分
監督:田中光敏
主演:内野聖陽
日本とトルコの長年にわたる友好関係をテーマにしたドラマ。海難事故に遭ったトルコ軍艦エルトゥールル号への日本人による救援と、トルコ人によるイラン・イラク戦争時の在イラン日本人救出という、両国の絆を象徴する二つの出来事を見つめる。監督は『精霊流し』『サクラサク』などの田中光敏。『臨場』シリーズなどの内野聖陽、『許されざる者』などの忽那汐里、『孤高のメス』などの夏川結衣らが出演する。約100年という歴史をまたいだ展開はもちろん、日本とトルコの知られざる物語にも胸を打たれる。 (シネマトゥデイより)
感想
1.
これも(一部には)有名な話だよね~。「エルトゥールル号遭難事件」。現在公開中の『杉浦千畝』と同様に、かつての日本人が他国の民を救ったという話だ。『杉浦千畝』ほどじゃないものの、これはこれで、「日土友好」とか、そういう(ある種政治的)側面が強く感じられる映画ではある。
そのせいか、映画自体がバラバラになっている印象がある。映画序盤、エルトゥールル号のシーンと紀伊大島のシーンが有機的に結び付いていない。日本→トルコ→日本→トルコという場面転換がせわしなく感じる。もちろん、物語的には結び付いていくわけだし、演出上も共通の仕掛けを用いて結び付けようとしているのだけれど、あまり上手くいっていない。
エルトゥールル号が遭難し、両者の筋が合流すると、物語的には上手く流れるようになる。なんと言うか・・・悲劇が起こったところで映画そのものは上手くいくようになるから・・・ちと複雑な気分にはなる(前半は完全にトルコ側の視点、後半は完全に日本側の視点みたいに分割しちゃっても良かったかも知れないし、あるいは『桐島』みたいに同じ時間を複数の視点で繰り返すやり方でも良かったかも知れない( ..)φ)
2.
もうひとつバラバラな印象を与えるのは、現代編(テヘラン邦人救出劇編)。この現代編が必要だったってのは分かる。これがなかったら、単に日本人がトルコ人を救ったってだけの話になってしまうからね。この現代編によって、はじめてお互いの話になる。
ここでも、前半の明治編と結び付けようとする制作者の意識は垣間見える。たとえば明治編(エルトゥールル号海難事故編)のメインキャスト2人、ケナン・エジェと忽那汐里が、現代編でもメインキャスト(キャラクターとしては別)になっていたりね。
ただ、映画の流れとしては、ほぼ完全に断絶している。「終わった~・・・」って、ところから現代編に移るから、「え? まだ続くの?」みたいに感じてしまう。これ、なんで最初に現代編をチラッとやって、そこから回想する(良くある)パターンにしなかったんだろう。そうすれば、見る方としても、「最後は現代編に戻るんだな」という意識で見ることが出来るのに。
前半の明治編の構成もそうだったけれど、この映画、見る人の心の動きをいまいち考えていないんじゃないかって思う。友好をテーマにしたいなら、もっとちゃんと色々と結びつけてくださいと。映画の構成にしてもそうだし、観客の意識にしてもそうだし。
ただ、映像的にも物語的にもなかなか心打たれる場面はあるし、この手の作品としてはそれなりの出来。
明治編に登場した内野さん演じるヒューマニストの医師は、いかにも主人公的なキャラだけれど、それでも『杉浦千畝』のような安っぽい印象になっていないのは、竹中さん演じるもうひとりの医師の存在があるからかも知れない。ものすごい俗物なんだよね。まあどういう展開になるかは予想通りなのだけれど、彼の存在によって物語に幅が生まれている。
☆☆☆☆(4.0)
物語4.0
配役4.0
演出3.5
映像4.5
音楽4.0