コードネーム U.N.C.L.E.
THE MAN FROM U.N.C.L.E.
2015年イギリス、116分
監督:ガイ・リッチー
主演:ヘンリー・かヴィル
概要
1960年代の人気テレビシリーズ「0011ナポレオン・ソロ」を、『スナッチ』などのガイ・リッチー監督が新たな視点で映画化。東西冷戦下、CIAとKGBのエージェントが協力し合い世界規模のテロ事件を阻止すべく奮闘する。プレーボーイのソロと堅物クリヤキンという水と油のスパイコンビを、『マン・オブ・スティール』などのヘンリー・カヴィルと、『ローン・レンジャー』などのアーミー・ハマーが熱演。そのほか『アンナ・カレーニナ』などのアリシア・ヴィキャンデル、ヒュー・グラントらが脇を固める。(シネマトゥデイより)
感想
世の中には「バディもの」というジャンルが存在する。はてなキーワードによれば、それは「対照的なキャラクター2人が難題に立ち向かうといった展開を見せる話や映画の総称」だ。
この映画『コードネームU.N.C.L.E.』のナポレオン・ソロとイリヤ・クリヤキンのコンビは、そういう意味ではまさにバディものと言っても良いだろう。なにせ、アメリカのCIAとソ連のKGBという冷戦時代を象徴する諜報機関の2人が組む。それだけで、もうワクワクしてしまう。
ただ、実際に見た印象では、そこまでバディものという雰囲気は強くない。もともと、1960年代に作られたシリーズのリメイクなわけだけれど、その当時の米ソの緊張感といまではやはり違うし、そもそもソ連はもう無くなってしまった。自由主義vs共産主義といった対立構造も、もはや失われてしまっている。この2人が背後に背負っているものの変化が、この2人の関係性自体にも影響を及ぼしているように思える。それは描き方にしても、受け取る側の見方にしてもね。
もうひとつ、この映画がバディものという雰囲気が強くない理由として、紅一点のギャビーの存在があげられる。話の筋に彼女が絡んでくるから、どこかトリオの印象を受ける。かと言って、三角関係ってわけでもない。この辺は、たとえばルパン、次元、不二子という「ルパン三世」の構図に近いかも知れない。
ただ、ギャビーの人物造形が上手くいっているか…と聞かれたら、それはやや微妙なところ。まず、ナポレオン・ソロがアメリカ、イリヤ・クリヤキンがソ連を背負っているのに対して、ギャビーは何も背負っていない。そのせいか、動機がいまいち伝わってこないし、心情の変化もなにか唐突に感じられる(直接の動機は最後に明かされるけれど、それ以前のそもそもの動機が良くわからない)。かと言って、たとえば不二子のように小悪魔的かと言えばそうでもない。要は、どういう人かが掴みづらい。その部分がこの映画では弱さになってしまっている(女優さん自体は悪くなかったと思うけれど)。
ヒュー様が出ていたのは凄く嬉しかった(年取ったなぁ…)けれど、もしかしたらヒュー様の役と合わせてしまうくらいの方が、キャラクターの関係が整理されて良かったのかも知れない。もともとのシリーズを知らないから、どの辺を変えて良いんだか分からないんだけれどね。
ただ、映画としてはまずまずの出来。充分に楽しめる。スピーディかつ流麗なテンポで流れながら、時々巻き戻し再生のように別アングルの映像を差し込んでいく手法も効果的。単に流れていってしまうのではなく、引っ掛かりを生むから、意識に強く刻み込まれる。
ところどころに挟んでくるユーモアも、ちと小洒落ていて、それでいて皮肉が効いていて、なかなか良い。脚本も丁寧で、「米ソが組むんだったら、(敵なしだから)スパイ2人だけでどうにかしろとはならないんじゃないの…」みたいな疑問にもしっかりと応えてくれる。
…ベックスが出てたの気づかんかった…
☆☆☆☆(4.0)
物語4.0
配役4.5
演出4.5
映像4.0
音楽4.0