八月を越えて 嵐の八月を越えて、霧の中を進む。 道はいつでもふた手に分かれている。 通り過ぎた未来と、決して訪れなかった過去と。 白詰草、夏の記憶。 森の緑を映すクリスタル。 行き着く先は夢の中。 真っ白な大地。そびえ立つ古城。 儀仗兵に迎えられ、橋を渡る。 雪が空へと舞い落ちる。 明滅する灯火。灰青の暁。 桜並木の下、茅葺き色の客車。 風に溶けていく汽笛。 微睡みながら振り返れば、 置き去りにしてきたいくつもの四季。