「義務と挑戦」(なでしこ) | 想像上のLand's berry

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言葉はデコヒーレンス(記事は公開後の一日程度 逐次改訂しますm(__)m)

 
「義務と挑戦」
 
 どう考えたら良いだろう。評価の難しい大会だった。
 
1.
 初戦のスイス戦ではバッハマンひとりにやられかけ、準決勝のイングランド戦ではほとんど負け試合のような展開だったけれど、「運」もあって勝つことが出来た。でも、アメリカは、経験とか運とか、そうしたことがまるで効かないような相手だった。
 
 いつもだったら1mまで詰めれば良いところを、それではアメリカ相手にはまったくプレッシャーにならない。その調整が出来ないまま、失点を重ねた。まるで2014W杯のドイツ対ブラジル戦。想定しているサッカーのレベルがひとつ違う、それくらいの印象があった。
 
 対照的に、アメリカは日本を良く研究していた。
 
 序盤、逆光だったこともあって対処が難しかったのかも知れないけれど、ゴール前にガンガン走り込まれ、ポンポンとボールを放り込まれ、挙げ句の果てにはハーフウェイからのロングシュート。まるで為す術もなく、決定的な差をつけられてしまった。
 
2.
 批判することは容易い。3年前のロンドン五輪ですでに限界が見えていたチームを、ほとんどそのまま持ってきた、ということも確かだし、このチームじゃアメリカには勝てないってことも、すでにその時に分かっていたわけで。しかも、主力の衰えによって、3年前よりむしろ力は落ちていた。
 
 アメリカがメンバーを変えない理屈は単純だ。彼女たちは王者なわけだからね。今大会、なでしこは防衛王者として戦ったけれど、実際の世界王者は、直近の世界大会(五輪)を勝ったアメリカだった。だから彼女たちは変える必要がなかった。
 
 それに対して、なでしこは今回、挑戦者だった筈なのに、チームを変えられなかった。そこにボクは限界を感じる。感じるけれど、もちろん、3大会連続で決勝まで来たというのは、とんでもなく凄いことで。並大抵の努力じゃここまで届かない。
 
 難しいと思うのは、なでしこってのは、「女子サッカー繁栄のために」、常に結果を出し続けることを義務づけられたチームだってこと。ここまで色んなメンバーを試してきたわけだけれど、最終的には、これまで結果を残してきたメンバー…いつもの「ファミリー」を選択せざるを得なかった。
 
 この選択が正しかったかどうかってのは分からない。メンバーの若返りを優先していたら、もっと早い段階で負けていただろうとも思う。このチームが培ってきたものによって、なんとかかんとか決勝までもってこられた。そんな印象の大会だった。
 
 多くのメンバーが「実力は出し切った」「やりきった」と言っていたけれど、ボクもそうだと思う。今大会の結果は、このチームで望み得る最良の結果だった。
 
3.
 でも、だからこそ虚しくもある。この先に繋がるものが見えないから。特に若手に経験を積ませることが出来なかったのは、この先を考える上では痛恨だったように思う。
 
 昨年、リトルなでしこが世界(U17女子W杯)を獲った。大会MVPに杉田妃和、同2位に長谷川唯。特に長谷川唯のファンタジー溢れるプレーにボクは魅了されたし、この子たちが、この先を担っていくんだと期待に胸を膨らませた。
 
 でも、一度も召集されることはなかった。若い? それを言うなら、澤は15才から代表だった。その積み重ねで今のなでしこがあるんじゃないの…と。将来を担うような若手を1人2人入れておくってのは、代表チームのひとつのセオリーでもあるわけで。
 
 今大会の結果、それは素晴らしいと思うし、誇るべきだとも思う。でも、なんだか純粋に喜べない。この結果はいったい、どれだけのものを犠牲にして成り立っているのだろう。あるいは逆に、この結果によって、どれだけのものが実るのだろう。それが分からないんだ。
 
 今はまだ…。
 

 
 

P.S.
 まあ、これも結局、単にSKEを見るときと同じこと(「推し」が選ばれていないと純粋に楽しめない)を言っているだけなのかも知れないけれど…ね。ひとりの子に思い入れが強すぎると、そういう弊害があるな…と。