『トラッシュ! -この街が輝く日まで-』
TRASH
2014年イギリス/ブラジル、114分。
監督:スティーヴン・ダルドリー
主演:ヒクソン・テヴェス
概要
ゴミ山に暮らす3人の貧しい少年が、ある財布を拾ったことから絶望の街に奇跡を呼び起こしていくドラマ。監督は『リトル・ダンサー』『愛を読むひと』などのスティーヴン・ダルドリー、脚本を『ラブ・アクチュアリー』などロマコメの名手リチャード・カーティスが手掛ける。過酷な環境でたくましく生きる少年たちには、オーディションで選び出された無名の少年たちを起用し、名優マーティン・シーン、『ドラゴン・タトゥーの女』などのルーニー・マーラが脇を固める。(シネマトゥデイより)
感想
ふ〜む…
リチャード・カーティスは、ボクがもっとも信頼する脚本家だ。
彼はなんでこれを書こうと思ったのだろう。「ラブコメの名手」とされるカーティスが「サスペンスもの」。しかも、これまでは、たいてい中流階級(中の上くらいかな)を描いていたのに、今回は一転してスラム街。しかも(×2)リオ。
どうしたんだカーティス…と思ったら、これ原作ものなのね。さもありなん。この脚本を担当することは、カーティス自身にとってもチャレンジだったわけだ。ただ…それが上手くいっているか…と言えば、ボクは微妙だと思う。
カーティスが中流階級を描いていたのは、もちろん彼自身がそうだからだろう。そこで描かれる人生の悲喜こもごもがカーティス作品の醍醐味だったし、その主人公たちには、おそらく、彼自身がどこか反映されていた。
同じイギリス映画でも、彼の作品は『トレインスポッティング』とは違うわけさ。もちろん、どちらが良いという話じゃない。彼の武器は、そうした人々が持つシニカルなウィットと、人生の四季と、その背後にある暖かみを、説得力を持って描けるということだった。
でも、この作品ではそうした武器を使えない。そのため、『ミリオンズ』を連想させるような、どこか無国籍的なこのお伽話に説得力を与えることに失敗している…と、ボクは思う。
この作品では何度も主人公ラファエルの動機が問われる。「なぜ?」と。それに対して、「〜だから」と彼は答えるわけだけれど、彼らが何を感じ、何を思って暮らしているのかを説得力を持って描けていないから、その台詞にも(本来あるべきはずの)強さがない。
本来、この映画はあの台詞にすべてが収斂される筈なんだろうに。そこに強さがないってことは、この映画は失敗だったということ(だとボクは思う)。
ただ、ダルドリーさんの絵作りは相変わらず素晴らしい。色彩感覚は言うまでもないし、どこか絵本のような絵作りも、この無国籍的なお伽話には相応しいだろう。とくに廟を登る後半のシーンなんかは出色だ。
だけど、ボクはどうしてもこの言葉を使いたくなってしまった。「ムダに素晴らしい」と。カチャカチャし過ぎた音楽も、ボクの趣味じゃない。
☆☆☆☆(4.0)
物語☆☆☆★
配役☆☆☆☆
演出☆☆☆☆
映像☆☆☆☆☆
音楽☆☆☆