
『TOKYOHEAD』
新大久保。韓流で有名な町。ボクには縁がない…と思いきや、卒業式の日に終電逃してオールでカラオケ店に居たのがここだったということに、駅を降りてから気付いた。
目抜き通りを抜けて、線路沿いの道に出る。彼方に見えるクレーンの標識灯。振り返ると、新宿の高層ビル群。お目当ては東京グローブ座。思いの外、女の子が多い…と言うより、大半が女の子だ。いつもと客層が違う(吉沢亮くんのファンなのかな)。
『TOKYOHEAD』。ヨーロッパ企画の上田さんが脚本/演出を担当する舞台。
ほとんどなにも予備知識を入れないで見に行ったのだけれど、話自体はボクが知っているものだった。90年代のゲーセン、『バーチャファイター』で覇を競い合っていた人々の物語。ほとんど実話。
ボクの場合、ゲーセンはあまり馴染みがないけれど、それでもバーチャはサターンで良くやっていたし、ファミ通も毎週買っていたから、ここに描かれたような人々にもなんとなく馴染みがあった。「懐かしい」というより、「あ…そんな人たち居たな」という感覚。
舞台そのものは、ヨーロッパ企画の舞台のような厳密なものではなかった。「厳密」って言葉は少し誤解を生むかも知れない。ヨーロッパ企画の舞台は、そもそもプログラムされた通りに厳密に動くものとは違うからね。
ボクが感じたこと…それは、上田さんの舞台はある独自の論理にしたがってプログラムされて、それを演者が(ある程度の幅をもって)プレーすることで成立していくものだけれど、今作ではプログラム自体に幅を持たせているというか。
むしろ、2つのプログラムが同時に走っているという感じかな。舞台には巨大なモニターがあって、「バーチャ」を映しているのだけれど、その「バーチャ」は舞台上で実際にリアルタイムでプレーしているものなんだよね。
しかもガチンコで勝負している(たぶん、その結果によって、ストーリーのディテールも変えている)から、ある種、スポーツ観戦的な要素が生まれるというか…そんな感じなんだけれども。
演劇+スポーツというかね。2つの要素がある。ただ、なんかそれが、舞台として閉じられているものに感じられなくて、少し物足りなさを感じたというか。舞台ならでは…みたいな面白さにはちょっと欠けているようにも思えた。
実際の筐体を使っているから、フリーズしたりボタンが壊れたりして、店員役の酒井くん(ヨーロッパ企画)がその場で直したりするのは、リアルとフィクションがないまぜになった感じがして面白かったけれどね。
ボクはやっぱり、舞台はどこか閉じていて欲しい…ってのがあるのかも知れない。すべてを厳密にコントロールするような舞台では面白くないかも知れないけれど、ある程度全体をコントロールされた上で、その上での自由みたいなものが見たいというか。
ただ、最後のセリフはものすごくカッコいい。あれはしびれた。ノスタルジーを感じさせるように、沈む夕日を感じさせるように終盤は進んでいくのだけれど、最後のセリフで一気にそれらを突き抜ける。あれは良かった。
P.S.
そのセリフを言ったのが、この舞台のヒロインを演じた元BOYSTYLEの絵梨。世間的には朝ドラ『風のハルカ』のヒロインと言った方が通りがいいのかも知れない。
前にもチラッと書いたけれど、BOYSTYLEとかPerfumeとか、あの当時のアミューズのアイドルユニットはボクには割りとなじみがあって。「BEE-HIVE カメラ」という、寮のレッスン場に据え付けられたカメラの24時間ライブ中継をよく見ていた(あれSKEでもやって欲しいかも)。
当時まだ無名だったPerfume(毎夕5時頃がのっちタイムだった)と違い、売れっ子だったBOYSTYLEのメンバー…とくに絵梨はあまり登場しなかった気がする。
あれから時は過ぎ…Perfumeは日本を代表するガールズユニットへと成長し、BOYSTYLEはほどなく解散した。ボクはBOYSTYLE結構好きだったんだけどな…。
それでも個々は活動を続けていて、こうして同じ空間を共有することができる…。というか、ボクはアイドルに会いに行かないから、実際の絵梨を見たのは初めてなわけで、それもなんかすごく不思議な感じがしたな。
続けていればまた会うことができる…「再会」という感覚なのに、ホントは「はじめまして」なんだよね。
辞めていくSKEの子たちとも、いつか「はじめまして」できるのかな…。