ジョバンニの島
2014年日本、102分
監督:西久保瑞穂
主演:横山幸汰
概要
第2次世界大戦直後に北方四島で起きたソ連軍進駐を題材にしたアニメーション。突如としてやって来たソ連軍が引き起こす混乱や不安の中、懸命に生き抜こうとする幼い兄弟の姿を見つめていく。監督は『アタゴオルは猫の森』『宮本武蔵 -双剣に馳せる夢-』などの西久保瑞穂。原作と脚本を、テレビドラマ「北の国から」シリーズや『最後の忠臣蔵』などで知られる杉田成道が務めている。主人公である兄弟たちが織り成す切ない物語が、いまだに解決のめどが立っていない北方領土問題の重さと深さを観る者にずしりと伝える。(シネマトゥデイより)
感想
ロシア…に対しては複雑な思いがある。
うちのじい様は終戦時38度線を死に物狂いで越えて、なんとか帰ってきた。だから(社会主義者だったけれど)ソ連が大っ嫌いで「露助」とか言っていた。ボク自身もチェチェンやクリミアのことなどから、ロシアにはあまり良いイメージは持っていない。
…と、書き始めたらあまりに脱線してしまったので、つづきはwebで(いや、コメ欄ってことね)。
この映画『ジョバンニの島』はアニメーションとしては非常にレベルが高い。押井さんと組んで数々の作品を演出してきた西久保さんが監督だし、『ばらかもん』など近年めきめきと頭角を現してきた橘正紀さんが演出を担当している。画作りの面でも、たとえば霧の中の船から漏れてくる光とか、印象的な画がいくつもある。
でも…なんだろうな…この感じは…。いまひとつ心にグサっと来るものがない。
それはひとえに、この古めかしい原作/脚本の問題のように思える。ロシア/ソ連を単純に悪いヤツとも良いヤツとも描いていないことは良いとしても、1940年代を描いた作品なのに、この脚本自体は1970年代とか1980年代の匂いがするんだ。
そもそも、冒頭、名前の由来を聞いた時点で、話の筋が分かってしまう…というのはどうだろう。これは歴史的背景を舞台にした物語だけれど、人物それ自体は物語の要請にしたがって造形されている…ということが明らかだ。
話の展開そのものも、どこか童話のような幻想的なものになっている。そうして、下手にファンタジーになってしまっているから、「歴史の重み」なるものは、その両の掌からこぼれていっている。
かつては、こうした手法もあり得たと思うけれど、それはもはや手垢にまみれているように感じる。それを突き抜けていくだけの物語の力はここにはない。
ファンタジーとして見たとしても、この映画から『銀河鉄道の夜』と通じる何かが感じられたかと聞かれたら、それはそうではなかった(『幕が上がる』の方がずっと『銀河鉄道の夜』だったよ)。
あ…そうそう、叔父さん役のユースケが良い味を出していた。
☆☆☆☆(4.0)
物語☆☆☆
配役☆☆☆☆
演出☆☆☆☆★
映像☆☆☆☆★
音楽☆☆☆★
コメ欄

それで、日本も日ソ不可侵条約を結んだ…と思いきや、今度はなぜかナチスはソ連に侵攻しちゃう。しかもソ連は日本と不可侵条約を結んだおかげで、西部に戦力を集中することが出来たから、対独戦を有利に進めるが出来た。
で、ドイツ滅亡後、対米戦で敗退を続け、もう風前の灯火となった日本を相手に、原爆も落とされて降伏間際だった日本を相手に、ソ連は一方的に不可侵条約の破棄を通告して侵攻してくるわけだ。
結局、ソ連の一人勝ちだった。このことを思い起こすたび、日本とドイツの連係の取れなさ具合に、日本の外交センスのなさ具合に呆れ果てる。