「ボク的インターステラーの楽しみかた1」
C.ノーランの最新作、『インターステラー』。『メメント』や『ダークナイト』、『インセプション』を作ってきたノーランにふさわしく、「思弁性」や「愛」といったものが底流に流れている作品です。
しかし、この作品を楽しむためには、なんと言っても「SF」というものの見方を分かっていた方が絶対に良いでしょう。それくらい、これはSF好きの心をくすぐる作品なのです(←初日に地元で観て、次の日に隣町のIMAXに観に行った人)。
と、言うわけで、今回から何回かに分けて「ボク的インターステラーの楽しみかた」を紹介していきます。まあ、ただの文系SF好きですから、そんなに専門的な話にはならんとは思います(^_^;)
と、こう書いてきてなんですが…ぶっちゃけ、一回目は何も予備知識なく観て、二回目は色々と調べてから観るってのがホントは良いかもです。だから、これは(とくにこれまでSFにあまり触れてこなかった)二回目の方向けの記事ってことになりますかね←それは需要あるのか(笑)
(なのでネタバレありですが、一応、その際は注意を喚起します)
その1.「砂」
冒頭、本棚に置かれたスペースシャトルの模型が砂をかぶっています。数秒の場面ですが、真のSF好きならば、ここから色んな情報を引き出さなければなりません(* ̄艸 ̄)
まず、本棚があるということは、ここは、ものすごく遠い未来の世界ではなく、また、まったく未知の種族の世界でもないということ。さらに、スペースシャトルの模型があるということは、ここは現実の歴史に沿った場所であって、パラレルワールドやファンタジー世界ではないということ。
時代設定としても、少なくとも(スペースシャトルが開発された)1980年代以降であるということ*1。ただし、現実現在の場所か…と言えば、それはおそらくそうじゃなくて、なぜなら本棚(とその上にあるスペースシャトルの模型)が「砂」をかぶっているから。ここでは、おそらく(ボクらにとっては非日常的な)何かが起こっている。
さらに、スペースシャトルが砂をかぶっているというのは、この世界では、そうした技術が埃をかぶっているということをも暗示しているかも知れません*2。
ここはおそらく…技術が停滞した近未来…
…と、この世界の基本設定がこうして受け取れるわけです。これはもう明らかな制作者からのメッセージです。言葉では全然説明してないけれど、画面がそう言っている。
こうして画面の隅々から「この世界の設定」を読み込むこと。これが、ボク的「SFの見かた」の基本になります。物語とか登場人物とかどうでも良いから、まず「世界の設定」を読み込めと(笑)
これが出来てしまえば、あとは応用です。
(冒頭部分の若干のネタバレあり)
家の外に出ると、ここはやはり定期的に砂嵐に襲われる世界だということが分かります*3。電柱の根元に積もる砂、それも片方からバーっと吹き付けられている。また、主人公が家の前で座っている場面では、背後に映っている窓枠が砂で埋まっています*4。
そういうところは、ホント基本中の基本ですけれど、そこがしっかりしているというのは、やはり安心感がありますよ。ちゃんと、画面でこの世界がどういう世界か…っていうのを説明してくれるってのはね。
つづく
(ネタバレあり)
*1、さらに少し後に無人機が登場、そこで21世紀以降の話だってことが明確になります。
*2、その後の学校のシーンで、それが明らかになります。
*3、この辺はドキュメンタリー形式で説明しちゃうんですけどね。その前にちゃんと画面に現れているってのがポイントです。
*4、のちに主人公の家が再現される場面で、彼は「綺麗すぎる」と言うのですが、そこでの窓枠に注目。