WOOD JOB!(ウッジョブ)~神去なあなあ日常~(4.0) | 想像上のLand's berry

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言葉はデコヒーレンス(記事は公開後の一日程度 逐次改訂しますm(__)m)

 
WOOD JOB!(ウッジョブ)~神去なあなあ日常~ 
 
2014年日本、116分。
 
監督:矢口史靖
 
主演:染谷将太
 
概要
 『ウォーターボーイズ』など数々のヒット作を送り出してきた矢口史靖監督が、人気作家・三浦しをんのベストセラー小説「神去なあなあ日常」を映画化した青春ドラマ。あるきっかけで山奥の村で林業に従事することになった都会育ちの若者が、先輩の厳しい指導や危険と隣り合わせの過酷な林業の現場に悪戦苦闘しながら、村人たちや自然と触れ合い成長していく姿を描く。『ヒミズ』などの染谷将太をはじめ、長澤まさみ、伊藤英明、ベテラン柄本明らが共演する。(シネマトゥデイより)
 
感想
 予告編は「軽い」ものになっているけれど、物語の筋は王道そのもの。都会から田舎へ、という構図から連想されるような典型的なものになっている。「軽さ」は、そのスパイスとして効いている感じかな。
 
 ただ、その「軽さ」が、ところどころ土着のものと不調和を起こしているように感じられるところがある。それは、序盤にあった不調和が徐々に解消されていって、主人公と村の人々とが徐々に調和していく物語の筋と有機的に絡んでいく…というわけではない。
 
 それはむしろ、演出の軽さと主題の不調和、CGの軽さとロケ地の山々との不調和…そうしたものと重なっている。クライマックスの場面もちとちゃっちい…。
 
 そして、この映画の「軽さ」はまた、この物語から「深刻さ」を奪っている。この山奥の村では、すべてがうまく回っているように見えるんだよね。子供たちもたくさんいて、村には活気が溢れている。ちょっと遠出をすれば町があって、なにも過不足がないように見えてしまう。森のなかの風景なんて、まるでファンタジーのよう。
 
 それに対する都会的なものの描き方もまた、あまりにもステレオタイプすぎて、これじゃ葛藤みたいなものが生じようがない。だから、ヒロインの長澤まさみさんが「みんな村から出て行っちゃう」と言うような焦燥感が画面に現れていない。これだったら、別にこの村を出なくても良いじゃない、と映画を見た誰もが思うだろう。
 
 ただ…こういう描き方はあるだろうとも思う。山奥の村を謳い上げるのは、それはそれで良い。なんというか「辛いんだよ…と、言っていても仕方ないじゃない」という前向きな開き直り方というかな、そういう姿勢はあり得ると思う。
 
 そして、それはまた、とても現代的な姿勢だ。そうした姿勢はおそらく、ハリウッドをはじめとした現代の洋画にも共通している。近頃、そうした振り切った映画が多い気がする。
 
 今まできっと、ネガティブなことばっかり言い過ぎたんだ。某キネ旬の老批評家が『アバウト・タイム』のレビューで、自分のためにタイムリープを使うのは「ズルい」と書いていたけれど、そのお説教臭さがボクにはもうウンザリなんだな…。
 
 良いじゃない。どんな状況だろうが、その状況で精一杯、人生を楽しめば。「~問題」だの何だの、そんなものが実際の社会にはこびり付いていて、ボクらは生まれた時からがんじがらめになっている。でも、少なくとも娯楽映画の世界ではそれくらい気にしないで行こうよ。そんなことを思ったりもした。
 (まあ、深刻なのも必要だし、そういう映画はそういう映画でいいのだけれど)
 
 そうそう…伊藤英明さんがダーッと走ってきて車に飛び乗るシーンは黒澤的でなかなか良かった。毒にも薬にもならないけれど、見て損ということはない映画かな( ..)φ
 
☆☆☆☆(4.0)