イントゥ・ザ・ストーム(4.5) | 想像上のLand's berry

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言葉はデコヒーレンス(記事は公開後の一日程度 逐次改訂しますm(__)m)

 
イントゥ・ザ・ストーム
INTO THE STORM
 
2014年アメリカ、89分
 
監督:スティーヴン・クエイル
 
主演:リチャード・アーミティッジ
 
概要
 史上最も規模が大きい竜巻に襲われた人々の死闘を描くディザスターパニック。ジャンボジェット機も簡単に飲み込む直径3,200メートル、秒速135メートルもの巨大竜巻が襲来するさまを、臨場感あふれる映像で映し出す。メガホンを取るのは、『タイタニック』『アバター』などに携り、ジェームズ・キャメロン監督からの信頼も厚い『ファイナル・デッドブリッジ』などのスティーヴン・クォーレ。出演は『ホビット』シリーズなどのリチャード・アーミティッジら。(シネマトゥデイより)
 
感想
  誰もが思い描くのが、体感型映画ということですよね。昨年、大ヒットを飛ばした『ゼロ・グラヴィティ』で多くの人が宇宙を「体感」したように、この映画では竜巻を体感できる。安全に…まるで遊園地のアトラクションのようにね。
 
 ただ、この映画にはまた少し別の要素が入っていて、ボクにはむしろ、そちらの方が興味深く感じました。
 
 『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』や、『クローバーフィールド』に代表される、ハンディカムによる主観ショットで撮影されたドキュメンタリー・タッチ作品の系譜。この『イントゥ・ザ・ストーム』においても、(普通のショットがメインとして用いられながらも)多くの場面に主観ショットが用いられており、その系譜に連なる作品と考えて良いでしょう。
 
 ただ、この作品で特徴的なのは、それが多視点になっているということです。
 
 ありとあらゆるところにカメラがあり、ありとあらゆる人がカメラマンでありえる現代。それを象徴するように、この映画では、数多くの登場人物がカメラを持ち、そうして撮影された映像がスクリーンに映し出されていきます。
 
 ありとあらゆるところにカメラがある…という点において、この映画は、『ゼロ・グラヴィティ』よりも、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』よりも、むしろ『エネミー・オブ・アメリカ』や『トゥルーマン・ショー』のような側面があります。
 
 ひとつ違いがあるとすれば、この映画のカメラは、そうした作品におけるような「監視カメラ」ではなく、その多くが人の手にもたれたカメラだということでしょう。カメラ=カメラマンの数が多いので、主観ショットではない普通のショットを見たときにすらも、(ストーリー上は居ないはずの)カメラマンの存在をそこに感じてしまうほどです。
 
 登場人物の意志がのった主観ショットから構成されつつも、それがひとつのパースペクティブではなく、多視点のものになっている。そしてそれが、ある種の客観性を確保している。主観性によって構成される客観性…来るべき映画とはそのようなものではないか…と、ボクの直観は告げます。
 
 作品自体としても、この映画は優れていると思います。たとえば『2012』のようなトンデモパニック映画とは違って、個々の行動原理がスッと納得できますし、スペクタクルやスリリングの表現も上手い。なかなか感動させる描写もあります。
 
 チープな撮影機材で撮られた主観ショットを多く用い、さらにそれに合わせるように無名俳優を数多く使った画面は、最初はあまりにも野暮ったく感じられます。しかし、映画が終わる頃には、なかなか良い顔に見えてくるから不思議です。
 
 必見…という程ではないですが、観て損はない映画だと思います。
 
☆☆☆☆★(4.5)