おかしなこと(今大会総括) | 想像上のLand's berry

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言葉はデコヒーレンス(記事は公開後の一日程度 逐次改訂しますm(__)m)

 
「興行よりも強化を第一に考えなければならない。」―セルジオ越後
 

 
1.
 日本代表のW杯が終わりました。ザックや本田に批判が集中していますが、ボクはそれは仕方ないと思います。彼らを庇い立てするつもりは一切ありません。
 
 でも、それだけというのも少し違和感を覚えるのです。もっと責任を取るべき人は他にも居るのではないですかと。
 
 そもそも、彼ら日本代表はちゃんと戦える状態にあったのだろうか。日本は代表をちゃんと強化出来ていたのだろうか。おかしなことは山ほどあります。
 
 今回のW杯を見ていて、なぜ日本代表だけに10時キックオフの試合(初戦)があるのだろうと疑問に思った方もいるでしょう。あれこそまさに、日本サッカー界を取り巻く異常な状況を端的に証しているのです。
 
2.
 少し関係のない話から始めましょうか。いつだか、ジュビロの福西崇史が手でゴールを決めたことがありました。もちろん反則です。しかし、レフェリーはゴールを認めてしまったのです。
 
 当然のごとく紛糾し、その批判の矛先はレフェリーへと向かっていきます。その頃からです。Jリーグがレフェリーを守ろうとし始めたのは。彼らはレフェリーを庇うために手段を選びませんでした。
 
 彼らが何をしたかというのは憶測でしかありません。事実だけ述べることにします。現在の日本のサッカー中継では、オフサイドかどうかという場面や、ジャッジが怪しかったと思われるような場面において(たとえばスペインの中継がよくやるように)繰り返し繰り返しその場面を再生して確認するということをしません。
 
 この国のサッカー界では、真実は二の次なのです。
 
3.
 その閉鎖性は、くしくも今回のW杯で露呈しました。もちろん、初戦の「西村ジャッジ」を巡る話です。たしかに、人はミスを犯すものです。それはレフェリーだって変わりません。それは仕方がない部分があるでしょう。
 
 しかし、あのPKは世界中から「おかしい!」と糾弾され、嘲笑されたジャッジでした。しかし、ただ日本のサッカー界とそれとつるむメディアだけは擁護の大論陣を張ったのです(ネットではそれに踊らされる人が続出しました)。
 
 「誤審ではない」と問題をすり替え、「今大会の基準を作った」と強弁し、世界中の声から耳を背けました。
 
 たしかに誤審ではないでしょう。たとえばオフサイドだったものをオンサイドにしたとか、そのように1か0かで判定できるものではなかったですからね。
 
 しかし、あんな状況であんな笛を吹くことが、どれだけ愚かなことか、それは世界中の声が(なによりFIFAの判断が)証明しています。あんな笛が基準になったら、この大会それ自体が壊れてしまうでしょう。彼が開幕戦を壊したようにね。
 
 この国のサッカー界では、サッカーのことなど二の次なのです。
 
4.
 今大会、アジア勢は一勝も出来ませんでした。アジアでしのぎを削っていると言っても、所詮その程度のレベルなのです。そのレベルを越えた強化をしなければ勝つことは出来ません。たとえ親善試合で強豪相手に善戦しても、親善試合は所詮、親善試合です。
 
 日本代表は、今大会、コロンビアに1-4で敗退しました。相手は消化試合の上にメンバーを落としていたにも関わらずね。あのレベルの相手が、真剣勝負の場でどういうプレーをしてくるのか、自分たちはどうプレーすれば良いのか、まるで分かっていませんでした。
 
 しかし、実際には、それを経験できる絶好のチャンスがあったのです。しかも、「2度」ね。日本は南米王者を決める大会、コパ・アメリカに招待されていたんです。だけど、断ってしまいました。
 
 なぜ? 知りませんよ。なぜか断ってしまったんです。あんなチャンスは滅多にないのに。今大会の絶好のシミュレーションになったのに。その一件だけでも会長のクビが飛んでも良いくらいだとボクは思います(これは後だしジャンケンで言っているわけではありません)。
 
 一度目は「震災云々」で断りましたが、次も断わったんだから、それは理屈にならないでしょう。二度目は「一軍が出せないから相手に失礼だ」とか云々。そんなん、断わった方がよっぽど失礼ですよ。出たくなかったんですよ。
 
 不思議でしょ? ボクらのサッカー協会がこんななんて。でもこれが事実です。理由は色々と推測できます。しかし、それも憶測に過ぎません。残された唯一の事実は日本は強化のチャンスを自ら棒に振ったということです。
 
 コパに参加しても、Jリーグ各チームには(短期的)メリットがありません。シーズン中に選手を持っていかれてしまいますからね。だから各チームは反対します。だけど、代表の強化を第一に考えるならば、協会は意地でも押し通さなければならなかったんですよ。でもそうしなかった。Jリーグ各チームとの関係を考慮したのか何なのか。
 
 憶測でよければひとつ言葉を挙げて置きましょうか? 協会としてはアウェイの大会なんざ「儲からない」んですよ。もちろん、ボクは儲かることを全否定するわけじゃありません。お金がなければ強化も出来ないですからね。でも優先順位を間違えちゃいけない。
 
 その一方、いまの日本代表には海外組も多いのに、なぜか国内での「強化試合」が多い(スポンサー様の冠のついたね)。あまつさえ、W杯本大会前にはわざわざ日本に帰ってきて、メディア露出をして、わざわざ「壮行試合」なるものを行う(そう、スポンサー様の冠がついた試合をね)。
 
 強化や大会に向けたコンディション/メンタル作りという観点からすれば、それはまったく非論理的なやり方です。だって、その観点から言えば、わざわざ雑音の多い日本に帰ってくるメリットなんてありませんから(追記:しかも、合宿地はこれまたスポンサー様に配慮して試合会場とはまったく気候の違う土地になった)。
 
 この国のサッカー界においては、代表の強化など二の次なのです。
 
エピローグ
 Jリーグは来季から2ステージ制へと移行します。コンテンツの質を考えたら、なにひとつ意味があるものではありません。ただ「優勝」というものの価値が下がるだけです。それでもゴリ押しされた。なぜか。(あたかも野球の日本シリーズのように)チャンピオンシップをやればお金が入ってくるからですよ。放送してくれるからですよ。
 
 今大会、なぜ、日本だけ(日本での視聴率が稼ぎやすい)10時キックオフの試合があったのか、そう考えると分かってくるでしょう?  JリーグがボクらのJリーグでなかったのと同様に、サッカー協会は「ボクらのサッカー協会」じゃなかったんです。
 
 スポンサー様だの広告代理店様だのマスメディア様だの、そんなサッカーとは無縁の人々に支配されているのが、この国のサッカー界の現実です(2006年のW杯では、そのせいで真っ昼間にゲームをやらされたのです。結果は知っての通りです)。
 
 サッカー協会はもはや自浄作用を失いました。彼らは(外に向かっては)スポンサー様の顔色を窺うことしかしませんし、(内に向かっては)身内をかばい立てすることしかしません(そう、西村さんを擁護したようにね)。多くの記者連中も(取材できなくなると困るのか、単なる身内意識か)まるで彼らの言いなりになってしまっているかのようです。
 
  本来は監督を査定しなければならない筈の強化担当が、ザックを連れてきたのは自分の手柄などと思い込み、監督と一蓮托生になってしまう。そんな組織はどこかおかしいのです。そんな組織は腐敗している。それをちゃんと指摘してきた人間が、協会の内部に、あるいは記者や評論家の中にどれだけ居るでしょうか。
 
  いまさら本田やザックを叩き始めたのは、それは単なるスケープゴートに過ぎません。本当にクビを取らなければならない人間は、もっと他に居る。
 
 もう何年も日本はワールドユース(U20W杯)に出られていません。身内で人事を回し、甘っちょろい理屈でかばい合い、そんなことをしている内に戦えなくなってしまった。
 
 今大会のW杯、日本代表は1分2敗。1勝も出来ず、10人のギリシャ相手に引き分けただけでした。奪ったゴールは2つ、奪われたゴールは6つ。得失点差は-4。決勝Tに進んだ前回大会から明らかに後退しています。
 
 ボクらは本当に前に進んでいるのでしょうか?
 
 それでも、今日もまた、いつものように拍手を送っている人々がいます。