ブラジルW杯徒然1(オスカル) | 想像上のLand's berry

想像上のLand's berry

言葉はデコヒーレンス(記事は公開後の一日程度 逐次改訂しますm(__)m)


 いよいよW杯が始まりました。

 初戦、開催国ブラジル対クロアチア

 正直、レフェリーが目立ってしまう試合というのは、あまり後味のよいものではありません。しかもそれが、我が国のレフェリーだったわけですからなおさらです(あれはどう考えてもPKじゃないよ…西村さん)。

 それはともかく、目を引くプレーもあったわけです。

1.
 この試合もっとも輝いていたのはオスカル。まず前半のプレー。0対1と先制されていたブラジルは、出足の早いクロアチアの守備に苦しんでいました。その場面においても、中盤でボールを保持しようとしたブラジルに対し、クロアチアの中盤は2人3人とプレッシャーをかけてきました。

 その瞬間、ブラジルはボールをロストしそうに見えたんですよね。それはクロアチアの選手もそう感じたのでしょう。ブラジルのボールホルダーに対して、一気にボールを狩りに来たのです。

 しかし、その選手…オスカルは(あんなに華奢そうに見えるのに)驚異の球際の粘りを見せて、そのプレッシャーをかい潜ってしまったのです。2人を交わし、そして、3人目に引っかかる直前に、ヒョイっと隣にいたネイマールにパス。

 完全に前がかりになっていたクロアチア中盤の守備を抜けると、そこには(ネイマールにとっては充分すぎるほどに)広大なスペースが広がっていました。あの位置でネイマールに前を向かれてしまっては(クロアチア守備陣は)おしまいです。ブラジルのニューヒーローは鮮やかな同点ゴールを叩き込んでみせました。

2.
 さらに、オスカルの見せ場は後半にも訪れました。ボールの処理をもたついたクロアチア守備陣からボールをかっさらうと、そのままゴールへと突進していきます。ペナルティエリアの直前でボールを突っつくと、そのボールはゴールへと吸い込まれていきました。

 あの場面でトーキック(つま先)を使うという技術の凄さは、経験者か、あるいはサッカーに詳しい人でないと分かり辛いかも知れません。普通、ああしたドリブルシュートというのは、インステップ(足の甲)で撃ち込むか、あるいはインサイド(足の横)で流し込むかです。

 トーキックというのは、ボールが伸びないしコントロールしづらいもの(手の指先でボールを突っつくのと、手のひらで押し出すのとでは、どちらがより遠くに飛ばしやすく、またコントロールしやすいか考えてみると分かり易いかも知れません)。だから、サッカー初心者などは、まず「トーキックをしちゃいけません」と習ったりします。

 あの場面で、なぜオスカルがトーキックを使ったか。まず、それは「トーキックにはシュートモーションがほとんど必要ない」ということがあげられます。インステップキックと違って足を振りかぶる必要もありませんし、インサイドキックのように体が開いたりすることもありません。

 したがって、相手からしてみると、ほとんどドリブル体勢のままシュートが飛んでくることになります。通常、キーパーというのは相手選手の体勢を見て判断/予測して自分の体勢を決めますから、あの瞬間、クロアチアのGKは完全に虚をつかれたわけです。実際、リプレイを見ても、キーパーの動作がワンモーション遅れているのが分かると思います。

 また、先ほど「トーキックというのはボールが伸びない」と言ったのですが、(シュートモーションがほとんどないという以外に)ひとつだけメリットがあって、それはトーキックで蹴るボールは初速が速いんです(ボールの狭い範囲をインパクトするからだと思うんですが…)。

 虚をつかれた上に、さらに初速の速いボールが(しかもあの時は隅っこに)飛んできたわけですから…あれはもうキーパーにはどうすることも出来ません。

 オスカルのファンタスティックなシュートは、後味の悪い試合に一陣の清らかな風を吹かせました。