MONSTERZ モンスターズ
2014年日本、112分。
監督:中田秀夫
主演:藤原竜也
概要
見るだけで他人を思い通りに操作できる特殊能力を持つ男と、その能力が唯一通じない男の激闘を描く韓国発アクションサスペンス『超能力者』をリメイク。『リング』『クロユリ団地』などの中田秀夫監督がメガホンを取り、互いに呪われた宿命を背負い、閉塞感漂う社会で葛藤する人間同士の対決が展開していく。主演は、本作が初共演となる藤原竜也と山田孝之。オリジナル版とは異なる日本版ならではのラストに衝撃を受ける。(Yahoo!映画より)
感想
どう見ても出来の悪い『デスノート』か『コードギアス』です。おつかれさまでした<(__)>
…って感想はいくらなんでも手抜き過ぎるか。
1.マイノリティ
超能力者もの、ミュータントもの…あるいはヒーローものってのは、マイノリティの問題を引き込むというのは相場が決まっている。多民族国家アメリカでは特にそうで、これはもう主題そのものに埋め込まれた問いであると言っても良いんだろう。
白人、黒人、ユダヤ、ヒスパニック系、アラブ系、アジア系…異性愛者、同性愛者…彼らにとってマイノリティの問題というのは、つねに身近なリアリティを持って、そこにあるもの。そもそも現在のマジョリティであるキリスト教徒も、もともとはマイノリティだったわけで、そうした精神性は彼らの文化そのものにも深く根付いているのだろう。
だから、「X-men」シリーズをはじめとして『マン・オブ・スティール』や『スパイダーマン』…彼らの作るその種の映画には、つねにそうした問題意識が根底に流れている。クリストファー・ノーランの「バットマン」シリーズでは、それを哲学の域にまで高めていた。
さて、ひるがえって本作。韓国映画のリメイクらしいのだけれど、日本でも韓国でも、そうした問題意識というのは、(表面化してきているとは言っても)アメリカほど差し迫ったリアリティを持っているものではないだろう。とにもかくにも、周りは基本的に自分と同じ顔をしている人々なのだ。
それに応じて、この映画におけるそうした問題意識も、マイノリティの問題というよりは個人の問題…とりわけ孤独/疎外感の問題…として処理されている。
それは結局、1対1という対決構造にも反映される。一見、数多くの人の生死が関わっているようだけれど、じつのところそれらはただの記号にすぎなくて、本当のところはたった2人だけの問題に過ぎない…というのは、まさに『デスノート』や『コードギアス』と共通する。
2.ゲーム
これは結局、『デスノート』や『コードギアス』がそうであるように、(作者が)ルールを定めて戦う1対1のゲームなのだ。ゲームにしちゃ陰気すぎるし血が流れすぎるとボクは思うけれど、そういうのが好きだって人もいるだろう(ボクはそもそもホラーとか陰気くさい映画が大嫌いなんだ)。
しかし、ゲームならば、ちゃんとゲームとして成立してなきゃ面白くない。各々のプレイヤーが知恵を絞ってゲームに勝とうとしなければ、間抜け同士が戦っている間抜けなゲームか、さもなくば八百長に見えてしまうだろう。
(以下、ネタバレあり)
たとえばプレイヤーBが「死なないヤツ」だったら、プレイヤーAはムリヤリ殺そうとせずとも、一生檻にでも入れることを考えれば良いわけ。それを試みようともせずに、一本やりに攻撃を続けようとするのは、ただのバカに見えてしまう。
それは感情の問題として説明できるかも知れないけれど、それはその時点でもうゲームとしては成立していない。だって、各プレイヤーが本気で勝とうとしてないんだから。ゲームってのは、基本的に知性によってなされるべきで、そこに感情の問題を入れてしまったら、ゲームそれ自体が成立しなくなってしまう。
それは警察の側もそう。あれだけ死人が出てるんだから、普通は問答無用で射殺だろう。見られたら終わりだと分かっているんだから、物陰に隠れて狙撃すれば良いわけ。それをいちいち姿を現したり、背後を取っても四の五のと時間を稼いで犠牲者を増やす。あんなのはヤラセか、さもなくばただのバカだ。
しかも、指名手配がかかっているのに、どこにでも自由に出入りしているし、いったいどういう世界なんだ。世界そのものがみんなアホなんじゃないか(まあ、それはつまり、この映画世界を作ったヤツの知性の程度を表しているわけだ)。
(ネタバレ終わり)
少なくともボクには、それは全然おもしろいとは思えない。各プレイヤーが本気で勝とうとしないゲームなんざ、見ていて面白いわけがない。ゲーム映画を作るならば、すべてのプレイヤーが本気で戦っているように、賢く戦っているように(見えるように)作らなければならない。
(押井作品でおなじみ)川井憲次さんの音楽が秀逸。その力もあって(藤原くんのモノローグの力もあって)、ラストはそれでも引き込まれた。それがなきゃ2点台の映画(追記:あらためて振り返ると、やっぱり2点台の映画というわけで修正)。
☆☆★(2.5)