THE NEXT GENERATION パトレイバー/第1章(3.0) | 想像上のLand's berry

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言葉はデコヒーレンス(記事は公開後の一日程度 逐次改訂しますm(__)m)

 
『THE NEXT GENERATION パトレイバー/第1章』
 
2014年日本、58分
 
監督:押井守
 
主演:真野恵里菜
 
概要
 押井守らが手掛けてきたプロジェクト「機動警察パトレイバー」シリーズが実写版の新シリーズとして展開し、全7章で構成される特撮アクション。汎用人間型作業機械「レイバー」による犯罪が社会から消え、待機の日々を過ごす3代目・特車二課「パトレイバー」に久しぶりとなる出動命令が下り、壮絶な戦闘を繰り広げるさまをダイナミックに描く。テレビドラマ「みんな!エスパーだよ!」などの真野恵里菜をはじめ筧利夫や福士誠治らが演じる登場人物や、最先端の映像技術を駆使して描写されるガジェットやバトルに注目。(Yahoo!映画より)
 
感想
 押井守といえばパトレイバーです。『ビューティフルドリーマー』や『攻殻機動隊』を挙げる人も多いでしょうが、ボクにとって押井さんは何と言ってもパトレイバーなんです。その押井さんが、もう一度パトレイバーをやる。
 
 そう…パトレイバーなんですよ。
 
 パトレイバー…なんですよね。伊藤和典さんもゆうきまさみさんも出渕裕さんも高田明美さんも絡んでないけれど、パトレイバーなんです。泉 野明じゃなくて、泉野 明だけど、イングラムの顔もなんだかブサイクだけど、それでもパトレイバーなんです。
 
 時々、「あ…パトレイバーっぽい」って思えるところが妙に虚しく感じます。脚本的には、「パトレイバーから押井さん的なものだけを抽出するとこうなるんだな…」という感じ。つまらないわけではないです。真野ちゃんはカワイイし、押井さんらしく、間のコントロールもしっかりしている。
 
 うん。でもやっぱり、押井さんには実写のセンスはないです。演技ひとつ取ってみたってそうです。アニメならば、優秀なアニメーター/作監がいれば、監督の考えを演技に落とし込むことが出来ます。一方、実写の場合、演技をするのは演者です。当然ですが。
 
 でも、押井さんには現実の演者をコントロールする力がない。それだったらそれで演者にお芝居を投げてしまえばいいんだけれど、押井さんはそのノウハウもないし、それをやるには演者も力不足ですかね。
 
 実写のセンスがないということ。それは取りも直さず、映像のセンスがないってことに他なりません。時々、「この画、分かるな」って場面もあります。でもそれは、脳内でアニメに変換して初めて分かるのです。
 
 だから、構図に問題があるわけじゃない。むしろディテールの問題です。妙にチープなイングラムの質感。まるでセットのような特車2課。それはつまり、モノの質感とか光とか、そういうものに対する感覚が欠けているってことに他なりません。
 
 アニメにおいては、非常に細かい描きこみがなされていると感じるような場面でも、実写にしてみれば、それはただの汚い画面に過ぎません。それを「画」として成立させるためには、どうしても質感や光に対する感覚がなければなりません。
 
 それに、「遠景」はどうしたんですか。アニメの『劇場版パトレイバー』では、近景・中景・遠景それぞれに意味を持たせていました。遠景は、たしか世界観/思想に相当するのだったかな。今作にはそれがない。ゆえに世界観/思想もない。
 
 実写では不快でしかない食べる場面がやたら出てくるのも、あれなんて単に押井さんの趣味でしょう。こういう作品をどう評価すれば良いのか。ボクには分かりません。ちょこっとCGにお金をかけた映研の作品(素人の作品)みたいです。
 
 そうしたものでも、妙にエネルギーを感じることはありますが、ここには、くたびれたひとりの頑固老人の趣味の世界があるだけです。シリーズは続くみたいですが、こんなものを見るために、わざわざ劇場まで行く気にはもうなれません。
 
 その言葉の古めかしい響きも含めて、「ビデオ映画」みたいな作品ですな(ま、もともとパトレイバー自体がOVAから始まった作品だったわけですが。追記:今作は劇場版のパトレイバーより、むしろTVシリーズに雰囲気が近いです)。
 
 帰り道、薄暗くなった空の向こうに、建設中のビルがある。空へと溶け込んでいくクレーン。赤く点滅する航空障害灯。この日見たどんな画面よりも印象的だった。ボクが欲しいものは、たったあれだけのものなんだ。
 
☆☆☆(3.0)