春季収蔵作品展(土屋光逸について) | 想像上のLand's berry

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言葉はデコヒーレンス(記事は公開後の一日程度 逐次改訂しますm(__)m)


土屋光逸≪雪の宮島≫
1936



 土屋光逸。川瀬巴水と同時代の版画家なのですが、彼ほど名前が売れているわけではありません。しかしながら、その完成度は巴水に勝るとも劣らないものだとボクには思えます。茅ヶ崎美術館は相当数所蔵しており、収蔵品展ではその一端を見ることが出来ます。巴水も所蔵しているので、その2人はよく並んで展示されています。

 ボクはもう「常設で2人の展示室作っちゃえば良いのに」とか思うんですがね…。巴水はもうかなり知られているんで、まずそこで引っ掛けることが出来る。そこで光逸を推す。それによって、茅ヶ崎美術館=光逸という印象をつけることができる。そういう戦略的なやり方があっても良いと思うんですよね。まあ、以前も似たようなこと言ってるんですが↓(^_^;)>

 それに、あの美術館、かなり奥まったところにあるので、道行く人を引っ掛けることが出来ない。公園入口のところに小さな常設展示スペースでも設けて、興味を持ってもらわないと。ポスターじゃなく、ホンモノの芸術作品をそこに置く。それだけで人の食いつき方が全然違う筈(防犯/保護はなにか考えるとして)。まずは人の流れを作るってことが大事…って、まあそれはともかく。

 その2人の版画を見比べていると、なかなか興味深いのです。

 巴水の版画は、フラットで、非常に洗練された、デザイン的な印象を受けます。NHKの日曜美術館では、スティーヴ・ジョブズが愛した版画家という点が強調されていましたが(まあ、そういう取り上げ方はともかくとして)それもうなづけるところがあります。巴水の版画は、どこかジオラマ的で、そこに小世界があるような版画です。

 それに対して、光逸の版画はもっと地味…というか柔らかい印象を受けます。デザインというよりは、むしろアニメに近い。現代に生きるボクらにとっては、ややジブリ的と言ったら良いのかな…。そんな印象があります。世界の一部を切り取ったような光逸の版画は、作品世界が奥に広がっていく。版画の外に世界がある。そして、なによりその幻想的な雪、まるで蛍の光のようです。



(じつのところ、今回出ている作品中では、↑に掲載したものよりも水彩の≪日光神橋の雪≫の方が遥かに素晴らしくて、ボクが「蛍の光」云々言っているのはそっちの方です<(__)>)



春季収蔵作品展
2/9(日)~3/9(日)
茅ヶ崎市美術館