『祭りのあとで』
ドラフト会議のドキュメントを見た。悲喜こもごものドラマ。これを見せたかったんだろうなってのは分かる。ドラマで引っかかりをつくり、「先行有利」の状況に少しでも風穴を開けたかったんだろうなということも。
だからこそ、しっかりとシステムを作らなければならない。もちろん、2回目があるかどうかは分からないけれど、そんなことを感じた。ボクが気になっていることは、大きく分けて4つある。
1.
まず、もっとも気になったのは、ドラフト制度と研究生制度が並行していることの不条理。これは以前、散々書いたので、ここでは繰り返さない。それに、育成メンバーの導入によって、やや緩和されたようにも見える。
2.
次の問題は、ドラフトといいつつ、その実、オーディションであることから生じる。ドラフトと違い、本番一発勝負の側面があるのに、候補生によって本番でのアピール機会に差があった。
たとえば1巡目で3チームから指名された須藤さんが話題になったのは、「哲学好き」という話をしたから。でも、それが出てきたのは、全員が行った自己紹介のタイミングではなく、その前のインタビューにおいてだった。そしてこのインタビューを受けたのは、29人中10人ほどだった。当然、印象度がまるで違う。
これは明らかに不公平だ。「運営推し」というのがあるのはボクも承知しているけれど、選ぶ前にそれをやってしまうと、チームとして欲しい子を選ぶという趣旨に反する。ショーという側面に気を取られているのかも知れないけれど、これはストップウォッチで測ってもいいくらい厳密にやるべき事柄だったとボクは思う。
3.
もうひとつは、正当性の問題。これはつまり、選ぶ人をどうやって選ぶのかという問題になる。今回のドラフト会議では、当初キャプテン/リーダーと支配人が選ぶという趣旨だった。これはこれでひとつの考え方だと思う。
キャプテン/リーダーというのは当然、チームに関してもっとも責任を負う人間だ。それが選ぶというのは、(独断的な形になるにせよ)それなりの正当性がある。運営から与えられた権限によってキャプテンが独断的に決めるというのは、(それ自体の是非はともかく)それなりに理に適っている(王権神授説ならぬ王権運営授説)。
しかし、今回のドラフト会議では、直前になってチームメンバー5人が出席することになった。これは問題含みだとボクは思う。なぜならば、チームメンバーは20人くらい居るからだ。相談して決めるのはいかにも民主的だけど、5人だけで相談するやり方だと、チームメンバーの中に、チーム方針に関われる人と関われない人が出てくることになる。
ここに出席していたメンバーが、チームの幹部であるというのもひとつの考え方だけど、現在のところ、48グループは幹部制度を導入していない。キャプテン/リーダーと違い正式な肩書きがあるわけじゃないから、「誰が幹部なんだ」って問題が当然出てくる。
もちろん、会議に出席している時点で、その5人が人事担当に任命されたと考えることも出来るだろう。でも、今度は、その人事担当は「何の基準で選ばれたんだ」って問題が出てくる。幹部/人事担当の選択には、明確な基準を用いなければ不満は出てくる。それは指名判断の正当性を問われることにも繋がりかねない。
そもそも、運営がドラフトの人事担当を選ぶんだったら、「チームとして考えて下さい」という趣旨に反する(キャプテンも運営から任命されるものだけど、ドラフトのために任命されているわけじゃない)。
大会社の人事担当と違って、20人程度のチームに誰を入れるのかという問題は、チームの方針そのものに大きな影響を持つ(採用人数に上限が定められていないから尚更だ)。こういう問題に関しては、チーム全員のコミットがあった方がいい――少なくとも大体の方針に関しては――というのがボクの考えだ。
民主主義にしたいのだったら、チームの判断にチーム全員の意見を反映する手続きを経なければならない。20人程度だったら直接民主主義にした方が良いと思うけれど、人事担当を選ぶにしても、それはチームメンバーの同意を得るべきだ。そうでないと、指名選択に対しチーム全員が責任を持つことが出来なくなる。
たしかに、(出席しなかった)るみるみはドラフト会議後、「不安が全くないとは言い切れないけど、わたしは(筆者注:良い方向に進むと)信じてます」と書いていた。ボクはこの言葉は良い言葉だと思う。信頼というのは大事だと思うし、実際には問題が生じることはないかも知れない。でも、逆に言えば、「信じてます」とか書かせちゃうようじゃダメなんだ。システムがメンバーの信頼に甘えているようじゃお話にならない。
システムとして、あらかじめ個々のメンバーが(指名判断を、チームの意思決定を)自分の責任として考えられるようなものにしておかなきゃ。ちゃんとそうなっていた場合、その言葉はおそらく「信じてください」になっていた筈なんだ。
今回のドラフト会議のように、ある人が他の人の意見を代弁するのは、本来なら代議士制度(間接民主主義)だと見なすことができる。代議士制度の場合、代議士が「誰を代表しているんだ」という点が問題になる。今回の場合、それは当然、チームメンバーである筈なので、その選出はチームメンバーによってなされたという形にする必要がある(運営が選んでるんじゃ話にならない)。
なにより、ペナントレースが始まる以上、「チーム」という問題はこれから大きくなってくる(必然的に、運営に負んぶに抱っこじゃいられなくなる)。チームの意思決定のプロセスはしっかりと構築されなければならない。
4.
最後のものは、「職権」に関する問題になる。単純に言えば、育成メンバーの位置づけが不明確ということだ。今回のドラフト会議では、直前になって育成メンバーというものが出てきた。当然、中身が煮詰まっておらず、メンバーに混乱をもたらした。
それが端的に表れていたのがSKEの対応だろう。SKEの各チーム(とりわけK2とE)は育成メンバーという話を聞いたため、「普通のオーディション」のつもりで候補生の獲得を決めていった。「6.5期生として迎える」という言葉がその意識を明白に表しているだろう。
しかし、チームとして獲得を決めた以上、「チームは関係ありません」とはいかない。実際、近頃の流れを見ていると、「チームとして迎える」という風向きが強くなってきていると思う。
ここにはもうひとつの問題があって、それは、チームとして指名したのにも関わらず、「育成メンバー」として獲得するならば、その子は研究生公演に出るということだ。つまり、正規チームとして指名したのに、研究生チームに送り込まれる。ボクは、これは(事実問題としては理解できるけれど、権利問題としては)おかしいと思う。チームとして指名した以上、本来ならば、チームが責任を負うべきだ。
もちろん、研究生は正規チームではないという考えもある。だから、そこに送り込むのは自由であろうと。でも、研究生は各チームじゃなく、グループに属している。そのため、各チームキャプテン/リーダーは、研究生に対する権限はない(これは、にししがそう言っている)。したがって、簡単に言うと、各チームキャプテン/リーダーがドラフト生を研究生の一員として獲得するのは越権行為になってしまう。
もちろん、これは、「育成メンバー」というものを作ったにも関わらず、その積もりで獲得すると越権行為になってしまうというシステムが悪い。「育成メンバー」の位置づけに対する説明がなかったことも、それに輪をかけている。
ボクは、「育成メンバー」というものを作った以上、やはり「研究生チーム」の意向もある程度は反映されるべきだろうと思う。この解決策は単純だ。指名自体を2段構えにすればいい。
まず、正規チームが普通に指名を行う。ここで獲られる子は、すべからくチームの一員として扱わなければならない。そして、すべての正規チームが全指名を終わったら、今度は各グループの「研究生チーム」が「育成メンバー」として指名を行う。この指名には、支配人、グループのキャプテン、そして研究生代表(もちろん、前段階として研究生のキャプテン/リーダーを決めなくちゃいけないんだけど)が関わる*。
こうしておけば、職権の問題(越権行為の問題)は発生しえない。各チームがちゃんと自分たちの指名に責任を持つことができる。
*もちろん、ここも正規チーム同様に民主的にしても良いんだけど、実際問題として、研究生が全責任を負うってのは難しいと思う。たとえば、いまのAKBだったら研究生は入ったばかりの15期生しかいない。その上、昇格を争う直接ライバルを選ぶわけだから、利害関係の点からも問題が生じる。だからキャプテンを選ぶってのも難しくて、(SKEの場合、終身名誉研究生がいるから問題にならない-筈-だけど)その立ち位置をどうするか(どう利害関係を生じさせないようにするのか)ってのも考える必要がある。
了