劇場版 SPEC~結~ 漸ノ篇(2.5) | 想像上のLand's berry

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言葉はデコヒーレンス(記事は公開後の一日程度 逐次改訂しますm(__)m)

 
「劇場版 SPEC~結(クローズ)~ 漸(ゼン)ノ篇」
 
2013年日本、94分
 
監督:堤幸彦
 
主演:戸田恵梨香/加瀬亮
 
概要
 戸田恵梨香と加瀬亮がW主演を果たし、“SPEC”こと特殊能力を保持する犯罪者と対峙(たいじ)する特殊捜査官の奮闘に迫る人気シリーズ完結編2部作の前編。宿敵との死闘を終えた未詳と呼ばれる未詳事件特別対策係所属の名コンビが、新たに立ちふさがる敵に向かうさまを活写する。メガホンを取るのは、テレビドラマシリーズから劇場版までを手掛けてきた堤幸彦監督。あらがえない流れに翻弄(ほんろう)される登場人物たちが体験する壮大な展開に息をのむ。(Yahoo!映画より)
 
感想
1.SPEC…
 思えば、起承転結の「翔」までは良かったな~と思う。冷泉にサトリにニノマエに…スペックホルダーそれぞれのキャラが立っていたし、ちゃんと世界観が確立されていた。見ていてワクワクした。
 
 初めての劇場版、前作の「天」から何かがおかしくなった。SPECがインフレし始めた…ってのと少し違うな…伊藤淳史くんの「銀だこ」とか、何だろう…妙に違和感があった。あれはSPEC世界のSPECじゃないような…
 
 「悪ふざけ」ってのは前からあったし、それはドラマとしての「SPEC」の魅力でもあった。そのクセの強さはまた、堤幸彦作品のアイデンティティでもあったろう。だけど、その部分が暴走をはじめて、ただの悪趣味な映画になっていた。これは「SPEC」じゃない…
 
 だから、「結」には初めから大して期待していなかった。
 
2.今作…
 予想を下回る出来…あの悪趣味さは修正されてなかった。キャラはまったく立っていなかった。だけど、それ以上に、これは一本の映画として成立していないと思う。
 
 前編(漸ノ篇)と後編に分けているけれど、これ、そもそもは一本用の脚本だったんだろう。それを2本に分けている。半分に分けられた前編はもともと、前振りの機能を割り当てられていた筈。それをムリヤリ一本の映画にしようとすれば、今度は当然、尺と劇的盛り上がりに欠けてくる。だから、(おそらく)いくつかの場面を継ぎ足している。
 
 そのため、一本の映画として見た場合、この前編はモノ凄くイビツなものになっている。作品全体の大きな流れとは無関係に、ポンッポンッと盛り上がりが作られていて、それがとても奇異な感じを与える。あとからムリヤリ仕立てられたようなキャラクター、仮初めのクライマックス。そのために伏線も設定も何もかも粗雑に扱われてしまっていて(あの雅ちゃんの下りとか、ホントに何なの…)、それがドラマ世界全体を崩壊させている。
 
 こんなんだったら、素直に3時間半くらいの映画を一本作って、それを真ん中でストンと切り落とした方が百倍マシだったと思う。この「漸ノ篇」は単体としても成立していないし、前後編合わせた「結」として考えてみても、前編で小手先の策を弄したことで、おそらく作品全体の流れをぶっ壊してしまっている。
 
 こういうものを劇場でかけて、2000円近くもお金を取る。ドラマにハマった人が…ドラマ版を愛した人が…見に行って、ウンザリした気分で劇場を出る。それでも、結末を知りたければ、もう一度お金を払って後編を観なければいけない。それで興行主は儲かったとしても、こんなことをしていれば、それは確実に映画という文化に傷をつける。
 
 なぜ、こういうことが起こるのか。インターバルを入れて3時間半の映画にしたって良かったし、あるいは「零」をやるくらいだったら、「漸ノ篇」はテレビで流せば良かったんじゃないのかとも思える。ホントにこれが全てで、なぜあんなものにお金を払わなければいけないのか…その疑問がずっと頭の中を駆け巡っている。
 
 この映画に携わった人すべてに問う。あなたたちには「映画人」としての良心はないのか。
 
☆☆★(2.5)
 

 
 

 
P.S.
 正直、優子はダメだったな…あのしゃっくりをする(役の)クセが妙に癇に障るのは監督の責任だから仕方ないとしても、「本格的な演技」をしようとしているのが痛々しい。ボクは前から言っているんだけど、AKBという時点ですでにニュートラルじゃないんだから、それを自覚しないと、演技としては周りから浮いたものになってしまう。それを乗り越えるだけの演技力も迫力もまだ彼女にはない。あの役につけられた変なクセは、逆に監督のそういう判断の現れなのかも知れんけどね。