「コミュニティとコミュニケーション」
ある時、「どっちも応援するってのはダメなの?」と聞かれたことがある。つまり、AKB48やSKE48と、ハロプロ、ももクロとかを同時に応援するんじゃダメなの?ってことだ。ボクはそれはアイデンティティの問題だと説明した。
たしかに、ぼくらドルヲタには一種の派閥性がある。たとえば、ボクは元ハロヲタだけど、今では48グループ、なかでもSKE陣営だと自分を認識している。まあボクの場合はちょっと複雑で、推しはななたん(山田菜々/NMB48)なのに、SKEなんだ。でもそれって逆に、こうしたアイデンティティが「推し」という要素には回収されない部分があるってことを示している。
そこに絡んでくるのは、おそらくコミュニケーションという要素だ。ボクは現在のアイドル・ブームとドルヲタの排他性は、その多くの部分をコミュニケーションという観点から説明できると思っている。もちろん、その中には直接的コミュニケーションである「握手」という要素もあるんだけど、今回は間接的コミュニケーション、つまりネット・コミュニケーションという観点から考えてみたい。
Communication(コミュニケーション)とCommunity(共同体)が共にCommon(共通)という言葉に語源を持つように、コミュニケーションによって何がしかのもの(情報/文化/価値観)を共有することでコミュニティは成立する。同じ言葉/同じ語彙/同じ話題を使って会話をするってことがコミュニティの成立には必須だということだ。井戸端会議なんかはまさにその典型で、あそこで「会議」をしている人たちが、ひとつのコミュニティを形成している。
コミュニケーションって観点からすると、同じ言葉、同じ語彙、同じ話題で会話する人(それはつまり同じ文化を共有している人なわけだけれど)がひとつのコミュニティを形成する。あるスラング、ある隠語があるコミュニティで共有され、その言葉を使うことがそのコミュニティの一員であることを示す。これはネットも同様で、たとえば2ch用語などはその典型になる(だから、ななたんが【悲報】とか使うと、本スレ民だと認定される)。
48グループのネット・コミュニケーションにおいても、ぐぐたすもさることながら、2chの存在ってのは大きい。「本スレ民」って言葉は、まさにひとつのコミュニティの住民であることを表している。どこどこの「本スレ民」、たとえばSKEの「本スレ民」ってのは、2chの中のSKEコミュニティの住民であるということを表す。
ボク自身は「本スレ民」ではないけれど、ここに「まとめサイト」の存在ってのが出て来る。それは2chコミュニティを薄めて広げる。こうしてボクやメンバーがそこに含まれていく。まとめサイトに(間接的にであれ)反応するメンバーは意外と多い(まあ、中には2ch自体に反応しちゃう強者もいるけど(* ̄艸 ̄))。
そして話題が共有されていく。2chで話題になり、まとめサイトで拾われ(時にはぐぐたすやブログのコメ欄にその話題が書きこまれ)、メンバーが反応し(あるいはそれにまた別のメンバーが反応し)、公演やぐぐたすで言及する。それにまた2chが反応し…と、こうやってグルグルやっていくことで、そこに2chやまとめサイト、ぐぐたすをひっくるめたひとつの大きなコミュニティが形成される。
2chなんて縁遠そうなまさな(大矢真那)が「まさなコミュニティ」と言っているけれど、あれはまさに真実の一端を衝いているわけだ。メンバー間のコミュニティ、ファン間のコミュニティが分離するのではなく緩やかに結びついている。そこにはメンバーを軸とした小さなコミュニティがあって、そうしたミニ・コミュニティが寄り合ってSKEコミュニティという大きなコミュニティが形成されている。これこそが、まさに「我が軍」(=SKE軍)というものの中身になる。
(つまり、ある人がまさなコミュニティの住民であると同時に、SKEのぐぐたす民、SKEの本スレ民であったりする。そうしたものを包括するものとしてSKEコミュニティがある)
コミュニティってのは本来的に排他性の強いものだ。そこでのコミュニケーションは情報のみならず文化/価値観を共有させる。したがって、あるコミュニティと別のコミュニティでは持っている文化/価値観が異なるのだ。
この傾向は階層を上がれば上がるほど顕著になる。たとえば、まさなコミュニティの住民ときょんコミュニティの住民(イソップ)ならば、かなりの程度のものを共有できるだろう。AKBコミュニティとSKEコミュニティでも、それなりに共有できるものはある。ところが、これがハロプロとかももクロとかになっていくと、かなり離れていき、衝突の傾向が強くなっていく。さらにアイドルという文脈を外れると、もっと離れていく(ただし、離れすぎると利害関係が生じなくなってお互いに無関係になる)。
しかも、ネット・コミュニケーションにおいては話題の消費スピードが格段に速い。数か月間、そこから離れただけで話題についていけなくなってしまう。AKB⇔SKEなど、ある程度において文化/価値観を共有しているコミュニティ間ならまだしも、文化/価値観がまったく異なる他のコミュニティにコミットしている余裕なんてない。だから、余計に他のコミュニティとの分離が加速していく。
こうしてぼくらは、自らを「SKE軍」であるとか「AKBヲタ」であるとか認識していく。