48のアイデンティティ | 想像上のLand's berry

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言葉はデコヒーレンス(記事は公開後の一日程度 逐次改訂しますm(__)m)


『48のアイデンティティ』

 SKEの単独ツアー&ナゴヤドームがサプライズ発表されたAKB48のナゴヤドーム・コンサート。SKEメンバー&ヲタはもちろん大歓喜でした。一方、他グループのメンバーは祝福しつつも、ちと複雑な心境を吐露していました。特にAKBのメンバーは、自分たちも単独コンサートをやりたいという気持ちが強いようです。

 他ならぬAKBのドームコンで、AKBのメンバーが「自分たちもコンサートをやりたい」と言う。少し奇妙に感じますが、事情を知っている人には不思議ではありません。今回のドームコンのように、AKBの活動は48グループ全体での活動になってしまうんですよね。ボクは、ここにこそ、現在のAKBをめぐる最大の問題の契機がある気がします。それはすなわち、アイデンティティの確立という問題です。

 たとえば、SKEだったら黒髪至上主義とか、汗の量は半端じゃないとか、体育会系のアイデンティティを持っています。茶髪騒動も結局、そのアイデンティティを確認するだけの結果に終わりました。

 NMBは…お笑い系とされがちなんですが、ボクはそう単純じゃないと思っていて…さや姉なんてむしろアーティスト系ですからね。だから、アーティスト寄りのお笑い(ラーメンズ)…ってよりは、むしろお笑い寄りのアーティストか…たとえば、米米CLUB…って、えらい古いな(笑)

 また、HKTだったらロリ系とかアイドル性が高いとかね。まあ、そんな感じで、各グループはそれぞれ自己のアイデンティティを確立して…あるいは確立しようとしているわけです。それは、SKE兼任になったみなるんが黒髪に染めたことで、なにより明らかでしょう。つまり、みなるんはSKE=黒髪というアイデンティティを認識していたわけです。

 では、AKBはどうか。ボクはそれは難しいんじゃないかと思うんです。なぜなら、AKBの選抜やアンダーガールズには各グループのエースや若手が入るし、握手会や各種イベントにも各グループのメンバーが参加するからです。つまり、AKB48≒48グループみたいな感じになっているんですな。

 AKBは各グループを包摂してしまうので、アイデンティティを確立しようとしても不可能なんです。だって、アイデンティティってのは、「ボクはこういうものだ」と選択することですから。言いかえれば、アイデンティティは、「ボクは、ああいうものではなく、こういうものだ」という排除の原理によって成り立っているわけです。

 従って、すべてを包摂していってしまうのならば、そこにグループ独自のアイデンティティなんて生まれようがない。もちろん、48グループ全体のアイデンティティは存在します(ガチとかね)。だけど、AKBの活動が48グループの活動と一体である限り、「SKE/NMB/HKTではなく、AKBである」というアイデンティティは生まれようがないじゃないですか*1。
*1.(一方、支店の活動にはAKBや他の支店メンバーは参加しないので、支店がアイデンティティを保つのはさほど難しくありません。)

 つまり、48という以外のアイデンティティを持たないAKBはヲタが支店に流れやすく、独自のアイデンティティを持つ支店はヲタがAKBに流れにくいということになります。結局、48というアイデンティティ自体はどこでも変わらんわけですからね。


2.アイデンティティの確保

 こういう状況においてAKBが独自のアイデンティティを持つとしたら、いくつかの可能性が考えられます。もっとも単純なのは、自身が支店化することです。これが一番手っ取り早い。しかし、CD売上の問題とかね…まあ色々あるでしょう。そこで、もう少し違う可能性を探ってみることにします。


2a.直参と陪臣

 たとえば、江戸幕府の直参と陪臣の違いというのがあります。この場合、直参がAKB「本店」のメンバー、陪臣が「支店」メンバーになります。

 幕府の直臣である直参も、大名家の家臣である陪臣も、同じ江戸幕府(48グループ)という体制の一員です。だけど、たとえば尾張藩士(SKEメンバー)という別のアイデンティティを持っている大名家の家臣(陪臣)とは違い、直参(AKBメンバー)ってのは幕府の一員という以外のアイデンティティを持っていません。

 では、どうやって独自のアイデンティティを持つか。これは単純に、将軍の直属の家臣である直参と、家臣の家臣である陪臣の違いになります。直参旗本ならばどんなに貧乏でも将軍に拝謁できますが、陪臣の場合はたとえ大大名家の家老だとしても拝謁できません。将軍直属の家臣である直参は陪臣よりひとつ順位が高いんですね。こうした差がアイデンティティになります。これはつまり「上」と「下」という区別によって、直参が「上」だというアイデンティティを確保しているわけです。

 実際、AKBのヲタにはこういう優越感を持っている人がいる…かも知れません。「自分たちは本店ヲタだ」と言った時に、そこに優越感の響きを漂わせている人がね*2。でも、封建制の時代でもあるまいに、そうした方法でアイデンティティを保つのは現実的ではありません。なにより、ヲタはともかく、AKBのメンバーがそんなことを言い始めたら、アイドルとしてはイメージ悪すぎです。そんなことやってたら倒幕されちまいます←上手いこと言った
*2.(ボク自身も「本店/支店」という言葉を使いますが、差別的な意味はありません)


2b.土地

  上下の区別でアイデンティティを確立することはできない。では、どうするか。たとえば、土地によって分けることが考えられるでしょう。SKEは名古屋、NMBは大阪、HKTは博多ってのは、立派なアイデンティティです。では、AKBは秋葉原か…ボクはそれはそうでもないって気がします。

 もちろん、ホームグラウンドは秋葉原です。秋葉原はAKBの聖地です。でも、ほとんどのメンバーが地元(あるいは近隣)出身である各支店とは違い、メンバーの出身地が(関東が多いとは言え)てんでバラバラなのがAKBです。もともと東京って土地は各地から人が流入している土地ですし、良くも悪くも全国的なんです、AKBは。

 それに、もともと秋葉っぽくないんですよね。初期の頃なんて、むしろ渋谷っぽかった。あのスクランブル交差点の人並みに紛れて空を眺めているのが、ボクの中の初期AKBの表象でした。

 大体、「名古屋のSKE」「大阪のNMB」「博多のHKT」とは言うけれど、「秋葉原のAKB」とは言わんでしょ? いま思えば、「自分たちは秋葉原48じゃなくてAKB48だ」って言い始めた時から、それは定まっていたのかも知れません。

 その当時は、それはたしかに正しい戦略でした。それによって、AKBは全国区のアイドル、いいかえれば「国民的アイドル」なるものに成りおおせることが出来た。でも、まさにその同じ理由によって、地元というアイデンティティのもつ熱量を利用できなくなってしまったのです。

 そう、川崎のチームであることを拒否して、全国区のチームであることを選択したヴェルディが、Jリーグブームが去って以降、観客動員に苦戦するようになったようにね。


2c.チームカラー

 上下の区別も、土地の区別も使えない。じゃあ、どうするか。最後に出て来るのが、グループ内でのさらなる細分化。つまりチームによってアイデンティティを確立するという方法です。ここでは公演が大きなカギを握ってきます。

 たとえば、AにはAの、KにはKの、BにはBのカラーがありました…当初はね…ご存じの通り、それは2度の組閣によってバラバラになってしまいました。人が替われば色も替わる。当然のことです。もちろん、組閣によるプラス面もありました。マンネリ化の打破とかね。でも、ことアイデンティティという観点からすると、あれは致命的でした。

 コアを残しつつ、「移籍」によって徐々に入れ替えていけば、アイデンティティは確保できたと思うんです。しかし、組閣というドラスティックな手段を(2度も)取ったことによって、それはバラバラに崩れてしまいました。まさに優子が言ったように、「Kというものがなくなる」事態が訪れようとしているのです。

 先日、SKEでも組閣が行われました。ボクが見る限り、新S公演と新K2公演は当初から完成度が高かったですが、新E公演はイマイチでした(回を重ねて良くなってきてますけどね)。ボクはそれは、「若いチームかどうか」じゃなくて、「コアが残ったかどうか」の差じゃないかと思うんです。

 Sはリーダーのにしし、センター珠理奈、エースのゆりあが残り、1期生まさなあきすんもいます。コアになる部分は旧Sメンで構成できているわけです。コアという意味では、そこに茉夏がWセンターとして加わったという感じなんですね。

 たしかに、新メンバーもそれぞれ自分の色を出しています。だけど、それは旧Sというコアの周りに新たな彩りを加えているような印象があるんです(そしてゆくゆくは自身がコアになっていくんでしょう)。それは全然悪い意味じゃなくて、むしろ良い意味です。アイデンティティが保たれている印象がある。

 まあ、が後継者に任命したなんなんがSを離れたのはどうなんだって気持ちも…って、これはボクが好きな子を全部Sに集めたいだけですな(^_^;)>

 K2もSと同じで、ちゅりあいりんみえぴーって旧K2の幹部がしっかりと手綱を握っているからこそ、最大勢力の旧Eメンが自由に遊べている印象があります。新K2は良いっすよ。

 まあ…ちと不安なところも…なくはないんですけどね(^_^;) でも、ちゅりがビシッと抑えて、みえぴーが諭して、あいりんが間を取り持つってような連携が目に浮かびます。コアがしっかりしているからこそ、ボクは安心できるんです。

 で、肝心のEはどうかと言うと…梅ちゃん花音は残っているものの、梅ちゃんがリーダーを外れ、花音が絶対的エースじゃなくなり…と、コアそのものが替わっています。現Eは新リーダーの玲奈、それから、ゆっこ辺りが(梅ちゃん花音と共に)中心になっているように見えます。

 もちろん、玲奈がどうとか、ゆっこがどうとか、そういう積もりでは全然ありません。ボクは、忙しい玲奈が頑張る姿や、そのチーム愛にはホントに心を打たれますし、チームを引っ張ろうとするゆっこの評価もうなぎ上りです。だから、その2人がどうという懸念は全然なくて、むしろ、「Eだけが1からチームを作る羽目になっているんじゃないか」という懸念があるんです。

 Sのアイデンティティは何とか残った。K2も残った。Eだけがバラバラになってしまった。そんな印象があるんですね。そして、そのことこそが、総選挙でEメンを大躍進させた一因だったんじゃないか…あれは、散っていく旧Eという桜が、最後に鮮やかに咲かせた花だった。そんな気が少しするんです*3。
*3.(説明する必要もないと思いますが、来年の総選挙で旧Eメンが散るという意味ではまったくありません。あくまでチームの話です)

 ちと話が脇道に逸れました。AKBの話です。AKBの正規チームもまさにそのような状態になっている。Aというアイデンティティも、Kというアイデンティティも、Bというアイデンティティも、もはや存在しない。それは新しく作っていくしかない。でも、また組閣されたら、また1から作っていくしかない。賽の河原みたいな話ですよ。

 だからこそ、唯一変わらないアイデンティティを保っている/受け継いできているチームが、現在もっとも熱量を持っているんじゃないだろうか…。つまりそれが、「AKB48研究生」というアイデンティティを持ったチームです。

 …最近、AKB研究生を持ち上げ過ぎかな…(^_^;)>





今回の登場メンバー:さや姉(山本彩)、みなるん(大場美奈)、優子(大島優子)、にしし(中西優香)、珠理奈(松井珠理奈)、ゆりあ(木崎ゆりあ)、まさな(大矢真那)、あきすん(出口陽)、茉夏(向田茉夏)、鰹(桑原みずき)、なんなん(菅なな子)、ちゅり(高柳明音)、あいりん(古川愛李)、みえぴー(佐藤実絵子)、梅ちゃん(梅本まどか)、花音(木本花音)、玲奈(松井玲奈)、ゆっこ(木下有希子)