『映画 けいおん!』
監督:山田尚子
主演:豊崎愛生
2011年日本、110分
概要
かきふらい原作のコミックをアニメ化し、社会現象にもなるほどの人気を誇る「けいおん!」初の劇場版作品。本作では、バンドメンバー5人が高校に在籍している時期を舞台に、卒業旅行に行くことになった彼女たちの過程が描かれる。監督の山田尚子、桜高軽音部のメンバーの声を務める豊崎愛生、日笠陽子、佐藤聡美、寿美菜子、竹達彩奈ら主要メンバーはアニメ版より続投。テレビシリーズにはなかった卒業旅行で、彼女たちがどのような行動をするのか注目だ。(Yahoo!映画)
徒然なるままに…
ボクもかつて、人並みに洋楽にハマり、ギターを買って練習していたことがある。まだビートUKが放送されていて、そして、初めてのフジロックが開催される以前の話だ。でも、長くは続かなかった。ボクはギターを続けられていたろうか。もし、周りに仲間が居て、そして、仲間と共に音楽をやれる喜びを知っていたならば…
自分語りで始まってしまう映画レビューって、どうなんだろう。でも、『けいおん!』は、そういう力を持った作品なんだと思う。アニメ的要素もあるんだけど、(その世界観全体は)むしろドラマ的な要素が強い…たとえば、『ナツのツボミ』や『放課後。』の系譜に連なるものだと感じる。日々を淡々と描いていくだけなのだけれど、そこには何かがある。
この作品を見たら、誰でも「自分は…」って感じを覚えると思う。これはだから、(大きなお友達大人にとっては)「自分にとって、その時代のドラマはもう終わってしまったんだ」ということと同時に、「今でも世界はドラマを生み出し続けているんだ」ということを、その内に孕みながら走っていく。
そういった点で、軽音部のOGかつ担任/顧問である「さわちゃん先生」の役割が効いてくるのかな。それは、「遠く過ぎ去ったものがそこにある」という感覚。それを見つめるまなざしの柔らかさ。
「ゆい」と「うい」って名前もまた、意味深長だよね。「You & I」で明らかになったと思うんだけど、姉の「ゆい」はonlyであるとともに、Youにかかっている(もちろん「ゆい」本人から見れば I なんだけど、「うい」から見ればYou)。そして、妹の「うい」は、Weにかかっている。
「うい」の劇中での役割のポイントは、決して軽音部の輪の中には加わらずに(一見するとそこが不思議なとこなんだけど)、誰よりも暖かな目で、姉と軽音部を見守っているってこと。これって、どういうことかと言えば、つまり(その世界に入れない)鑑賞者の視点が重なる場所が、そこにあるってことなんだよね。だから、We。
年上の「さわちゃん」と、年下であり(あずにゃんにとっては同級生)の「うい」に見守られて、軽音部=けいおんの物語は紡がれていく。そしてそこでは、物語の筋よりも、誰がどうかってこと(キャラクター)の方が重要。
それは(原作が4コマということもあるだろうけど)、鑑賞者の目線が、OG/担任/顧問と妹/同級生に設定されている時点で、必然なんだと思う。だって、「さわちゃん」や「うい」が軽音部に何か大きな波が訪れるようなことを望むとは思えんもん。
だから、「けいおん」の世界の枠組みは、じつは「さわちゃん」と「うい」(+のどかちゃんもかな)によって設定されている。そして、それはその世界全体を優しさと暖かさで包み込む…って、ホントはこんな分析的な記事を書きたかったわけじゃないんだよな(^_^;)>最近、むぎちゃんの性格が好き(* ̄艸 ̄)
感想
映画そのものの出来は、TVシリーズと変わらないから安心して見れる。と言うよりも、部分的にTVシリーズと重なっているし、映画単体で完結してない感じだから、これだけ見てもどうかなという感じがする。卒業式後の場面は、個人的にはTVシリーズの表現の方が好きだったな。あの文化祭からの流れは、いつ見ても涙が流れてしまう…最近、涙腺がゆるいのよね。
まあ、それはともかく。映画単体としての評価は、そういう部分も含めて4.5。だけど、「けいおん」という世界全体を通しての評価は5.0。そんな感じかな。映像に音楽に美術に脚本。完成度は高い。
☆☆☆☆★(4.5)