
ルーカス・クラナハ
≪エジプトへの逃避途上の休息≫
1504年の日付のある絵に、クラーナハはエジプトへ逃れる聖家族を描いている。木々に覆われた山のなか、泉のほとりで家族は休んでいる。もじゃもじゃの葉をつけた木、美しい緑の渓谷沿いに開けるふもとの眺望。手つかずの自然のなかに、こんな魅力的な場所があるのだ。聖母のまわりに小さな天使たちが群れ集まってきている。なかのひとりが、幼な子イエスに木の実を差し出す。別のひとりは、貝に水をためて持ってこようとしている。笛を吹いて疲れた旅人の心を慰めようという天使たちもいる。こういう詩的な工夫には、ロッホナーの叙情的な芸術と同じ精神が宿っている。
エルンスト・ゴンブリッチ『美術の物語』 p.355

Stefan Lochner
≪Madonna of the Rose Bower≫
ca.1448