『テルマエ・ロマエ』
2012年日本、108分
監督:武内英樹
主演:阿部寛
概要
古代ローマ帝国の浴場設計技師が現代日本の銭湯にタイムスリップしてしまう、ヤマザキマリの人気コミックを実写映画化。監督は、『のだめカンタービレ 最終楽章』シリーズの武内英樹、脚本を『クローズZERO』シリーズの武藤将吾が手掛ける。古代ローマと現代日本、時空を越えて異文化交流を繰り広げる主人公ルシウスを、阿部寛が妙演。漫画家志望のヒロインに上戸彩がふんするほか、古代ローマ人役の北村一輝、宍戸開、市村正親という日本屈指の顔の濃い役者陣の成り切りぶりにも注目。(Yahoo!映画より)
感想
原作は未読だけど、まず設定が面白い。ローマの公衆浴場と日本の銭湯。その組み合わせが秀逸。そして、阿部ちゃんの存在感。彼を主人公にもってきたことが、この映画の全てと言っても良いほど。ここまで素材が揃ってたら、もうあとは調理するだけ…なんだけどね。まあ、序盤は面白い。本人は大まじめなのに、どこかズレているという、ある種の緊張感が笑いを生んでいる。こういう演技をさせたら阿部ちゃんはピカ一。ところが、後半に入ると映画自体がトーンダウンしていく。ズレているところが解消されてしまい、あの緊張感が失われてしまう。何だか、上手いこと話をまとめようとして、かえってマイナスになっている感じ。
それから、この後半で、上戸さんが役にハマっていないことが明らかになってくる。前半は割りと雰囲気に合ってるんだけど、段々と存在感がフェードアウトしていく。もっと吹っ切れた演技でも良かったんじゃなかろうか。なんだか、キャラクターとしての輪郭が滲んでいるような感じ。それは、上戸さんにコメディエンヌとしての実力が不足しているのか、それとも、端からこの役に向いてなかったのか。もっとも、この役は映画のオリジナルのようだから、むしろ上戸さんありきで作られた役なのかも。そうすると、上戸さん云々というよりも、脚本の問題なのかも知れない。まあでも、ふと、竹内さん辺りで良かったような気もしてしまった。
上戸さんの例でも分かるように、原作にはない部分(特に後半)で、(おそらく、主人公自身を含めて)キャラクターの目的意識とか性格設定がブレてしまっている。結果的に、それが大きな影をこの映画に落としている。アイデアは秀逸なのに、終わってみれば平凡な映画だった。期待して見なきゃ、それなりに楽しめるぐらいの感じかな。それから、大した問題じゃないんだけど、ハドリアヌス帝の時代に「西暦」で年号を答えるのはやっぱりマズイでしょ。(ラテン語で会話している設定の筈だから、訳の問題だと言い逃れられるとしてもね)
☆☆☆★(3.5)