「衆院選2012<2>シェールガス」
*昨日の記事(http://blogs.yahoo.co.jp/flowinvain/32316604.html)はメリット/デメリットの話でしたが、今回はその続きです。というより、むしろこの記事(http://blogs.yahoo.co.jp/flowinvain/31584641.html)の続きです←いまさら(^_^;)>
先日、シェールガス/オイルに関して、とある番組にエネルギー問題の専門家の方が出演していました。おそらく、シェールガスの推進派であろうその方は、シェールガスの利点を数多く並べ立てられました。それらの利点に関しては、ぼくも同じ意見です。
まず、利点をつらつらと挙げてみましょう。シェールガス革命の影響で北米の天然ガス価格が下がっています。ヘンリーハブ(アメリカの天然ガス指標銘柄)の価格は、日本の天然ガス購入平均価格の約1/5ですし、また、北米が自給出来るようになったことで、玉突き的に(ロシア産/カタール産など)世界的に天然ガスがだぶつき始めていることも事実です。
もっとも、日本は島国であり、パイプラインを持っていません。天然ガスを輸入するためには、液化してLNGにする必要があります。ヘンリーハブと同等の価格で輸入するのはもともと不可能ですし、3.11以降、日本が火力をフル稼働させ、その燃料として天然ガスをじゃんじゃか輸入している影響もあって、東アジア向けのガス価格は高止まりを続けています。
しかし、当然のことながら、シェールガス革命による世界的な状況の変化を利用しない手はありませんし、実際、日本の商社も盛んに北米で活動を行っています。(もちろん、それとは別に、石油価格の上昇によって著しく不利となった石油価格連動方式に代わる、天然ガス価格決定の新しいフォーマットを模索する必要もあるでしょう)
原発が(2基しか)動いていない現在、日本のエネルギー政策の直近の課題は、電力需給の逼迫と、火力への転換による燃料費(したがって電気料金)の増大です。前者は、ほぼすべてを火力に依存して何とか乗り切っている状態で、このこと自体に関しても(Co2の問題を含め)是非はあるでしょう。
一方、後者に関しては、シェールガス革命による北米ガス価格の下落を利用すれば、コストを切り詰めることが出来るかも知れません。つまり、シェールガスには、原発停止による経済的デメリットを軽減できるというメリットがあるのです。これは、現在の日本にとっては、願ってもない話のように聞こえます。「だったら、どんどん採掘させて、じゃんじゃん買えば良い」。そういう風に考えられるかも知れません。
しかし、当然、シェールガスにもデメリットはあります。これは良く言われる話ですが、シェールガスを採掘するための工法、フラッキング(水圧破砕法)に、非常に問題があるのです。水質汚染や小さい地震を誘発するとか言われていますが、ぼくが見たアメリカのドキュメンタリー番組では、こんな映像がありました。ガス田近くにある住宅の蛇口から出る水に、ライターで火をつけたところ、なんとその水に引火してしまったのです(↓映像参照)。現在、アメリカの環境活動家たちが、もっともその矛先を向けているのは、原発よりも、むしろフラッキングだと言えるかも知れません。
そうした理由によって、アメリカでは、フラッキング反対派の住民が賛成派の住民を上回るような状況も各地で生じています。そのため、ガス会社も、これまでのように、どんどん採掘するというわけにはいかなくなるかも知れません。もちろん、そうなれば、世界的なガス関連の状況はまた変化します。こうした潜在的リスクもまた、シェールガス推進におけるデメリットのひとつでしょう。
もちろん、そうだといって、「だから原発を再稼働させればいい」という風に、単純に議論を持っていくつもりは、ぼくにはありません。Co2が増大しようが、北米の環境破壊が進もうが、それでも、原発事故のリスクを考えれば、原発を停止し、火力に切り替え、燃料コストを下げるために、どんどんシェールガスを採掘させた方が良い。それもまたひとつの考え方です。しかし、デメリットに目を瞑ってはならないと思うのです。それは、間違いなくそこにあるものだからです。
ここで、冒頭のテレビ番組を振り返ってみるならば、その専門家の方は、フラッキングの問題が出たところで、次のような発言をされました。「これは、本質的な問題ではない」「管理が杜撰なところで起きた、いわば局所的な問題」である。ぼくは、「いや、それは駄目だろう!」と。いったい、原発事故で何を学んだのですか。
ぼくらは、かつて、「原発は安全だ」ということを言いたいがために、自分たち自身をも欺いたあげく、必要な安全対策を怠ってしまったのです。そうではなく、推進するからこそ、そのデメリットに正面から向き合わなければならない。これは、mustです。そうして、すべてのメリット/デメリットを見定め、それらをすべて明らかにし、認めた上で選択する。それが必要なのだと、ぼくは思っています。
なんだか、昨日とまったく同じような結論ですが。
つづく
GASLAND (Trailer)
*そんなこと書いてたら、今日付けで、こんな記事が→「米、LNG輸出の拡大検討へ 日本向け解禁可能性も」(日本経済新聞)
*それに合わせたように、こんな記事も→「北極海航路でLNG輸送 ロシア企業が世界初、日本到着 地球温暖化で海氷減少」(MSN産経ニュース)