オートローテーション…オスプレイに関するetc.2 | 想像上のLand's berry

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言葉はデコヒーレンス(記事は公開後の一日程度 逐次改訂しますm(__)m)


『オートローテーション…オスプレイに関するetc.2』


 「オスプレイは危険である」という議論は、事故率の比較を見た限りでは生まれてこないというのが前回のあらすじでした。まあ、(http://www.mod.go.jp/j/approach/anpo/osprey/dep_5.pdf)←を見れば明らかなのですが、実際のところ、事故率の比較ではむしろ低いとさえ言えるのです。(「米軍運用航空機の中でも平均以下の事故率」)

 *ここで数字が(つまりは米軍&防衛省が)ウソをついていると反論してしまうことは簡単ですが、しかし、そうだとすると米軍の虎の子であるF-22ラプターが6点台と高い数値をつけていることの説明がつきません(MV-22オスプレイは1.93)。

 そこで登場するのが「オスプレイはオートローテーションできないから危険である」という論調です。上記のような明々白々な数値を突きつけられては「オスプレイは危険である」という主張の根拠が失われてしまいますから、「事故率は重要じゃない。むしろフェイルセーフ機構*がないのが問題なんだ」という風に論点をずらしたってわけです。

 *フェイルセーフ=「誤操作・誤動作による障害が発生した場合、常に安全側に制御すること」-Wikipedia

 オートローテーション(自由回転飛行)は、たとえばヘリコプターのエンジンが停止した場合、ローターを抗力(空力)によって回転させ揚力を得ることで、機体をある程度コントロール下に置くこと…なんですが、これで緊急時にも不時着が可能になるわけで、フェイルセーフ機構のひとつと考えられるでしょう。

 で…オスプレイはと言うと、防衛省の説明では「オートローテーションに係る機能自体は保持」ということになっています。実際に出来るかどうかは(動力喪失時の高度・速度にも関わるので)諸説はあるようですが、「オートローテーション中の降下率は他の回転翼機より高い」と防衛省自身が認めているように、オスプレイのオートローテーション機能が弱いのは事実でしょう。

 一方、オスプレイが動力を喪失したのが固定翼モード時ならば、(飛行機が動力を喪失した時のように)翼を用いて滑空し不時着を試みることも出来ます。この滑空能力がどれくらいのものかという数字が出て来ない辺りがまた憶測を呼んでしまうわけですが(軍事機密に関わること以外なら何でも出してしまった方が不信感を拭い去るためにも良いとボクは思います*)…あの機体の形状を見る限り、滑空性能も余り効率が良いようには思えません。(*欲しいのは固定翼モード時の滑空率のデータですが、一応、回転翼モード時の方は「滑空率はおよそ2:1」という数字が出ています)

 言ってみれば、オスプレイはヘリに比べればオートローテーション性能が弱く、一般的な飛行機に比べれば滑空性能も(おそらく)弱いということになります。しかし、はっきり言ってしまいましょう。「それが一体なんだってんですか?何のための事故率調査なんですか?」…と。

 オートローテーション能力があろうがなかろうが、滑空能力があろうがなかろうが事故は起こります(それでなかったら事故なんて存在しない筈でしょう?)。たしかに、オートローテーション&滑空性能が高ければより安全になるでしょう。しかし、繰り返しますが、何のための事故率調査なんですか。オートローテーション&滑空性能が弱いことによってオスプレイの事故率が他の機種より有意に押し上げられているというデータがない限り、「オスプレイはオートローテーションができないから危険である」という主張は無意味です。安全性はトータルで考えないと意味がありません*。

 *たとえば、初期の飛行機は滑空性能には優れていますが、しかしそれが即安全ということには繋がりません、エンジンの信頼性やら何やら事故率を上げる要素はいくらでもあるのです。

 大体、飛行船なんてオートローテーションも滑空もできないじゃありませんか。それでも、可燃性の危険な水素ガスから不燃性のヘリウムガスに切り替え、さらに機体に燃えにくい素材を用いること等によって安全性の確保に努めているのです。

 それと同様で、ティルトローター機(FAAの区分ではPowered Lift)のオスプレイをヘリや飛行機と同じ枠組みで考えても仕方ありません。それゆえ、オスプレイの性能所要からオートローテーションは除外されているのです。(「米軍はNASAの勧告に同意し、オートローテーションによる着陸を性能所要から削除」)

 一方、たとえば、「高性能シミュレータ」の導入等で乗員の練度を高めることによって安全性の確保に努め、そして、(オートローテーション能力が確保されているかどうかは別としても)、たとえ弱くとも滑空能力が確保されており、さらに、「左右の回転翼駆動軸間を連結シャフトでつなぐことによって」、片方のエンジンが停まった時でも、問題なく飛行を続けられるようになっているのです(*これは紛れもなくフェイルセーフ機構の一種です)。

 それらトータルの努力の結果として、1.93という「米軍運用航空機の中でも平均以下の事故率」が達成されているのであり、したがってボクは「オスプレイはオートローテーションできないから危険である」という論に同調することは出来ません。


追記…
 Wikipediaには、


 と書かれていますが、これrely onを普通に訳せば「緊急着陸のためにはオートローテーションに頼らない」という風に読めます…というか、そういう風にしか読めませんな。(頼らないと使用しないは違うので)その辺り、Wikiの訳は一体どうなってんだと(;一_一)…ちなみに、↑の箇所に続いて引用元(ボーイング社のガイドページ)では

「両エンジンが離れており(=同時に壊れる可能性が低い)、なおかつ片発でも両方のローターを動かすことが出来るので、動力喪失着陸はありそうもない。しかし、もしそれが必要な場合は、固定翼モードで(ターボプロップ機のように)滑空して着陸することが出来る」(原文:The wide separation of the engines and the ability to drive both rotors with one engine make a power-out landing extremely unlikely. However, if required, the V-22 can glide for a predictable run-on landing in airplane mode, much like a turboprop.)

 と述べられています<(__)>