『Heart Beat 2』
人は何のために生まれ、何のために死んでいくんだろう。ボクには何も見えてはいなかったし、ボクの瞳は何も見てはいなかった。ボクはまったく無価値な人間だし、空虚に漂う人生に何の意味があったろう。無意味だって言葉が、体中に纏わりつく。
ひとつのものを失えば、次にはふたつのものを失い、ふたつのものを失えば、次にはみっつのものを失う。そうして築上げた砂の城は崩れていく。寂しいことがたくさんあって、過ぎ去っていった数多くのことが、まるで鏃のように突き刺さっている。この道は、もうデッド・エンドなんだ。
幻想を失ったまなざしは、街のあらゆる片隅で、心を切り刻む現実をまのあたりにする。ボクが何を言ったかなんて、どこにも書き留められちゃいないし、何が間違っているのか、何が悪いのか、もはや、すべては意味不明で、朽ち果てていく肉体を、ただのさばらせている。それでも、僅かな希望に縋ろうとすれば、変な具合に体を打つのがオチだ。
ボクは、もう全てを忘れたい。記憶の何もかもを粉にして、星空めがけてばら撒きたいんだ。そうして出来た白い道は、海の上をどこまでも昇り、銀河の中心を貫いて、千億光年の彼方まで続くだろう。それは、ボクが目にしたあらゆる美しいもので出来た白い橋。ボクは、それを渡って、どこにもない国へ行くんだ。
あらゆることを忘れるために、ボクはMilky Wayを渡ってHeart Beatを手に入れる。残り時間を数えてないで、アントワーヌ、どこにもない世界へボクを連れて行ってよ。