欧州の美術館に行ったことで、最近、絵画熱が(愈々)高まってまして・・・
フィリッポ・リッピの画集やらウーデの画集、
エルスハイマーの≪エジプトへの逃避≫の専門書(ドイツ語)などなど・・・
色々と買っているのです・・・※(マラッタの画集が欲しいよ~)←心の声(笑)
で、念願のレーニの画集(?)もついに手に入れたのです♪←ちと高かった・・・
そこに、ちょっと気になることが・・・
「国立西洋美術館に所蔵されているレーニの≪ルクレティア≫が素晴らしい」と、
僕は以前から言っているのですが、その本によると・・・↓
One more Lucretia might be mentioned because it is, and yet it is not, so very similar to Reni's pictures.
This is an unpublished version, probably the best, of a popular design that has been repeatedly linked to Reni himself.
Clearly there are associations with Reni's Lucretias in composition, colors, brushwork, etc., but they dissolve when the female type and psychological mood are weighed.
The facial expression of this Lucretia, like Guercino's Cleopatra of 1639, is alert and pre-ecstatic; tellingly, it looks vapid when compared with Reni's more deeply pained martyrs.
The entire bearing of the woman seems to have been established with the goal of displaying an eroticized body untainted by imminent death, which is the inverse of Reni's own approach to the portrayal of female destruction.
-Richard E. Spear 『The "Divine" Guido』Yale University Press, 1997, p.90-
つまり、何を言っているかというと・・・
構図、色彩、筆使いなどはレーニの(他の)≪ルクレティア≫を連想させるけど、
女性のタイプや心理的なムードはそうではない。
顔の表情は(むしろ)グエルチーノの≪クレオパトラ≫みたいで、
レーニが描いた他の殉教者に比べると「退屈」に見える・・・云々
結局、これは女性の裸体を描きたくて描いた絵のように思われ、
それは、レーニが女性を描く時のアプローチの仕方とは「正反対」である・・・云々
つまり、レーニの作とは認められないと結論付けていますね。
もっとも、(レーニ作とされる絵の内)この種の絵の未公開バージョンでは
「ベスト」であるとも言っていますが。(1997年当時はプライベートコレクションでした)
↓ちなみに、西洋美術館では(当たり前ですが)グイド・レーニ作としています。
グイド・レーニ
(1575-1642)
≪ルクレティア≫
c.1636/1638

実際、どうなんだろうね・・・
上記の本が書かれたのは西洋美術館が収蔵する前なので、
その後の調査で、レーニ作と確定された可能性もなくはないかな・・・
↑の西洋美術館≪ルクレティア≫紹介ページによれば、
文献歴では1802年のカタログまで遡れるみたいだし、
所蔵歴でも1784年にイギリス領事が取得した時には、
すでにレーニの作であるとされていたみたいですな。
でも、上の著者の言うことも分かるんですよね・・・
実は、以前≪ルクレティア≫について書いた時に
「この短剣、ただのオブジェのように見えはしないか」とか、
(主題に相応しい筈の)「壮絶さを微塵も感じさせない」とか・・・
そういう指摘を僕もしていまして・・・(自分の見方が正しいと言うつもりはないけど)
(ただ、「女性の裸体を描きたくて」・・・ってところの解釈は正反対なんですが。)
う~ん・・・
実は、レーニ作品の実物を見てピ~ンと来たのは≪ルクレティア≫だけでして・・・
参考↓
「今回の旅では、(レーニの)それほどの傑作には出会いませんでしたね。」
「ゲーテも見たであろうこの絵の前で、僕は倦怠感に蝕まれている。 」
それって、むしろ逆に、≪ルクレティア≫がレーニ作でない証拠なのかも・・・(笑)
(素晴らしい作品であると僕が思ってることに変わりはないのですが)
他のレーニ作品はこちら↓(これらを実際に見たら素晴らしいんだろうけどね・・・)
ローマにある≪ルクレティア≫の別バージョン(未完成)はこちら↓
(やっぱり少し違うね・・・特に切迫感・・・)
※しまった・・・今日はおサボリする積もりだったのに、
いつのまにか学術的(風味)な記事に(笑)