
-夢日記-
僕は軍神だった。
ある会戦で、僕は左翼の司令官を任された。
巨大な平野に展開する両軍。
戦が始まって程なく、自軍が撤退していく。
「な・・・」
敵中に取り残された僕の部隊も、やむなく後退する。
小高い丘まで退いた時、味方は20人程になっていた。
僕は踏みとどまる決心をする。
敗残兵を収容するために伝令を出して、密集隊形をとる。
雨あられと降り注ぐ矢。殺到する敵兵。
最精鋭の僕の部隊は微動だにしない。
味方の楯に守られて、僕はじっと彼方を見据えている。
焦れた敵の本隊が押し出して来る。瞬間。
まさに一閃だった。飛んでいく槍。敵軍は瓦解した。
凱歌のあがる戦場で、鼓動の音だけが聞こえていた。
だらしなく撤退した総司令官が更迭され、
後任の総司令官として僕が任命される。
それでも、彼我の戦力戦意の差は明らかだった。
秘策を胸に、僕は敵中深く忍び込む。
敵陣に近づくと、あちこちに見知った顔がいる。
「裏切り者・・・」
哀しみと憤りは、しかし直ちに疑問へと変わった。
僕が居るから戦が終わらないんじゃ・・・
気が付けば、守るべき何ものもなかった。
20人の部下たちにそれぞれ隠遁の場所を世話して、
僕はどこへともなく落ち延びて行った。