フェイル・セーフの欠如-サッカー日本代表- | 想像上のLand's berry

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言葉はデコヒーレンス(記事は公開後の一日程度 逐次改訂しますm(__)m)

オランダ 3-0 日本

 

 サッカーにおいては、確実に勝てる戦術やチームなどというものは存在しません。ですから、勝てる確率を高めることが重要なのです。その観点から見ると、現在の日本チームには、大きな欠点が存在します。それは、あのようなスタイルをとっている限りは不可避なこと、つまり、試合の後半になると疲労によって確実にペースダウンをすることです。

 

 

 今回の対戦相手だったオランダは、この試合を調整試合として考えていたためか、前半のペースが上がらなかった訳ですが、仮定の話として、ワールドカップ本番で戦う相手が日本チームを研究した結果、前半にペースを落として我慢をし、後半に日本が疲れたタイミングを狙ってペースを上げれば、勝てる確率が高まるのではないか、と考えても不思議ではありません。そして、その考えは恐らく正しいのです。中距離走に例えてみれば良いでしょう。例えば、800m走の前半を思い切り飛ばせば、トップ選手を相手にしても、ある程度はリードを奪うこと(あるいは追走すること)が出来るでしょう。しかし、レースは800mなのです。ペース配分もマトモに出来ないようでは、レースに勝つことは不可能です。サッカー日本代表チームも同じです。試合をブツ切りにして、5分か10分、あるいは45分だけを捉えて良いサッカーをしたと言っても無意味なのです。試合は90分で一つなのですから、90分を通して内容を判断しなければなりません。

 

 

 そして、もう一つ気になったのは、指揮官(岡田監督)と中心選手(中村俊輔)の発言です。岡田監督は試合後のインタビューで「今の日本チームは1つのピースが手を抜くと・・・」というようなことを仰いました。1人の選手とハッキリ言わないで、実際にはピースという言葉と選手という言葉を置き換えることが出来るアンフェアな発言だと思います。僕としては、1点目はトゥーリオ選手のパスミスから、2点目は中澤選手の対応の甘さから、3点目はサイドで相手を2mも放してしまった内田選手のミスから、それぞれ生まれた失点だとは思いますが、ここで、岡田監督が誰のことを指していたか(本田選手だったかも知れないし、特定の個人では無いかも知れない)は問題にしません。

 

 

 僕が問題にしたいのは、この発言に見られる指揮官の責任感の無さです。1人の選手が手を抜いたから、あのように失点を重ねたというのでは、指揮官としてお話になりません。そういう選手を選んだのも自分ですし、そういう戦術を選択したのも自分です。さらに、今のチーム(あるいは監督)の考え方にはフェイル・セーフの発想が欠如していることも見てとれます。サボる選手を使うと失点をするのならば、サボらない選手を使えば良いじゃないか、と単純に考えがちですが、実際には人間はミスをするものですし、疲労してくれば判断力も落ちます。そして、ここが何より重要なのですが、日本チームは間違いなく疲労の溜まり易いサッカーをしていて、後半になれば疲労の溜まった選手はミスを犯し易くなります。サボるサボらないという次元の話ではなく、現実的に体が動かない選手も出てくるでしょう。選手交代の枠は3人です。全員を代える訳にもいきません。しかし、指揮官の発言からは、そのような状況になった時にどうするか、という発想は全く見えてきません。指揮官の仕事は「1人がサボったから失点した」と言うことではなく、そういう状況に陥らないようにするための、あるいは、そういう状況に陥った時に最悪の事態を避けるための、手立て(=フェイル・セーフ)を講じておくことの筈です。

 

 

 そして、中村俊輔選手の「交代選手が出てきてから悪くなった(要旨)」という発言も無責任極まりないものです。客観的に見て、この発言にも一分の真実はありますが、先ほども申し上げたように、日本チームは後半になるとペースが落ちるのです。交代選手が入った“から”悪くなったのではなく、悪くなったところに交代選手が入ってきたというのが実情に近い。それに加えて、僕は今日の前半が良かったとは思いません。90分を通した結果、日本チームの得点は0です。これでは、どんな試合にも勝てません。日本チームの10番を背負う選手がこのような発言をしている辺りに、今の日本サッカー界の攻撃面に対する考えの甘さが出ていると思います。立ち上がりからペースを上げたのならば、そこで何としても点を取らなければならない。そこに失敗したことが、この試合の1番の敗因です。また、試合中のFKの場面でも感じたのですが、中村選手は恐らく本田選手のことが好きではない(あるいはサッカー観が違うと言ってもいい)、そして、以前もこのような趣旨の発言をしたことがありました。代表チームは仲良しグループではない、気の合う連中と自分のやりたいサッカーをやっていれば良いというものではないでしょう。0点に終わった試合で10番が考えなければいけないことは、交代選手の批判をすることではないと思います。このブログでも何度も書いているのですが、僕は中村俊輔選手が大好きで、一番好きな選手は?と聞かれた時には「俊輔(海外ならC・ロナウド)」と答えます。それだけに、このような発言は残念でたまりません。

 

 

 日本サッカー界がイビツァ・オシム以来培ってきた「人もボールも動くサッカー」というフィロソフィーは、その根本を問われる時期にきていると思います。そして、僕は、そのフィロソフィーには「フェイル・セーフの欠如」という重大な欠陥が隠されていると思います。