『コーカサスの金色の雲』(1980)
Ночевала тучка золотая
(Anatoly Pristavkin 1931-2008)
古今東西の古典を勝手に選定しオススメする古典のススメ。第12回はプリスターフキン著『コーカサスの金色の雲』です。
第2次世界大戦のさなかコーカサスに移送されて来た500人のロシア人孤児たち。初めて見る本物の山に興奮する主人公コーリカとサーシカの兄弟。ところが汽車が着いたチェチェンの村はどこかおかしい。住民がいないのだ。2人は汽車で擦れ違った異様な貨物列車を思い出す。新天地でもたくましく生き始める2人だったが、やがて故郷を取り戻そうとするチェチェン人パルチザンたちの存在に気付く。
戦時中の1944年にナチス・ドイツに協力したという名目で全チェチェン人とイングーシ人、併せて50万人が強制移住をさせられました。10年以上した後に帰還が許されますが、一説によるとこの強制移住の結果として、全住民の3/4が犠牲になったと言われています。この物語は強制移住によって住民が居なくなったチェチェンの村が舞台となっており、著者プリスターフキン自身の体験を基にして描かれた真実の物語です。文学としての価値も非常に高く、純粋に小説としても読むことができ、僕が読んできた小説の中でも最も印象深い作品のひとつです。現在まで続くチェチェン問題の源泉の1つを理解する一助としても、ロシア人の立場から見たチェチェン像を知る上でも重要な作品だと思います。
Wikipedia:項目-チェチェンの歴史